「Les Saveurs 志摩(レ・サヴール・しま)」のエクステリアデザイン(イメージ)【提供=近畿日本鉄道】
本格的なフレンチ料理を提供
近畿日本鉄道(近鉄)、近鉄・都ホテルズ、近鉄リテーリングの3社は10月31日、近鉄初のレストラン列車「Les Saveurs 志摩(レ・サヴール・しま)」を、2026年秋から近鉄名古屋―賢島間で運行を開始すると発表した。東海圏・首都圏の40代以上の顧客をメインターゲットに、本格的なフレンチ料理を提供。「食」を通じた沿線の魅力を発信する。
今回発表した列車は、コロナ前からグループ内で議論を開始。一般消費者に対し行った調査や、国内の旅行会社へのヒアリングなどにより、伊勢志摩方面への「食」を通じた旅の需要が高いことが分かり、同社として初となるレストラン列車の導入を決めた。
コンセプトは、「美食が誘う、優雅な列車旅」。かつて御食国と称された三重県の食材を豊富に使い、近鉄・都ホテルズの監修で本格的なフレンチ料理を提供する。列車外観は、志摩の海、白砂、太陽が醸し出すさわやかな解放感を、深みのある青と光を感じる白で表現した。

「Les Saveurs 志摩」のエクステリアデザイン(イメージ)【提供=近畿日本鉄道】
列車は近鉄名古屋駅発着で、週6日、1日1往復の運行を予定。途中、伊勢市、宇治山田、五十鈴川、鳥羽、鵜方に停車する。4両編成で運行し、座席数は50席用意(前席指定)。賢島行きの往路は4号車で昼食の「フレンチコース」を、復路では1・2号車で手軽な夕食として楽しめる「フレンチ膳」を提供する。3号車は、料理の準備などを行うキッチン専用車両とした。
往路のフレンチコースは、近鉄・都ホテルズが運営する志摩観光ホテルの樋口宏江総料理長(近鉄・都ホテルズ取締役エグゼクティブフェロー)が監修。復路のフレンチ膳も近鉄・都ホテルズが監修し、彩り豊かなフレンチを木箱に詰め込んだ。

往路で提供する「フレンチコース」【提供=近畿日本鉄道】

復路で提供する「フレンチ膳」【提供=近畿日本鉄道】

「フレンチコース」を提供する4号車【提供=近畿日本鉄道】
首都圏の顧客に向け、伊勢志摩の認知度向上へ
運行ダイヤについては、往路は近鉄名古屋を午前11時頃に出発し、賢島に午後1時半頃に到着。復路は、賢島を午後4時半頃に出発し、近鉄名古屋に午後7時半頃に到着。
料金設定については、往路のフレンチコースは2万円代後半、復路のフレンチ膳は1万円代後半を想定している(いずれも運賃込み)。
運行計画や料金などの詳細は、引き続き検討を進め、来年春頃に詳細を発表する予定としている。
主なターゲット層としては、東海圏、首都圏の50~60代女性や、40~50代の夫婦・カップルなど。インバウンドの需要取り込みも視野に入れ、現在は東南アジアのエージェントに声がけを行っているという。
発表当日、近鉄は三重県四日市市の都ホテル四日市で記者会見を開いた。同社の原恭・代表取締役社長と、深井滋雄・取締役常務執行役員が新列車の概要を説明。往路のコース料理を監修した志摩観光ホテルの樋口宏江総料理長も出席し、料理の詳細を紹介した。
原社長は今回の新列車について、「首都圏のお客さまは伊勢志摩の認知度が低い。(首都圏は)大きなマーケットなので、良いものを提供していき、そこのお客さまを呼び込みたい」と強調した。「今はきっちり(同列車の運営を)定着させることが大きな課題だ」と述べつつ、新列車が軌道に乗ったタイミングで、将来的に大阪方面などへの展開も検討していく可能性を示唆した。




