【VOICE】「体験民宿」で魅力的な滞在型観光地へ 一般社団法人大紀町地域活性化協議会 代表理事 奥川拓氏


奥川氏

ゲストもホストも「幸福」を感じる
観光地域づくりを目指して

 大紀町は三重県中南部に位置する、人口約7400人の農山漁村の町です。

 そんな小さな町の商工会会長に平成24年就任した当時、少子高齢化や後継者不足等により毎年10~15の商工会会員の事業者が廃業している現実に直面し、このままでは地域経済が疲弊してしまう危機感を覚えました。同時に、何とかして大紀町の経済を活性化するために、滞在型観光事業等により都市部からの交流人口や関係人口の増加を図り、地域の消費拡大につなげたいという思いが強くなり、平成25年大紀町商工会の下部組織として大紀町地域活性化協議会を立ち上げました。

 当時の大紀町はホテルや大規模な旅館も無く、釣り宿や昔ながらの小さな旅館が数件あるだけの観光とは無縁の町でした。

 そこで、自宅を活用し設備投資もせずに開業できる「農林漁業体験民宿(以下、体験民宿)」に着目し、体験民宿による滞在型観光事業の促進を重点事業に掲げました。

 その頃大紀町に1軒しかなかった体験民宿をまずは20軒に増やし、町内の農林漁業事業者や団体と連携し体験コンテンツを造成することで、地域が一体となった新たな観光産業の構築を目指しました。

 ちょうど平成28年に三重県で開催されたG7伊勢志摩サミットを契機に、三重県が海外から注目を集めることとなり、地方のこのような小さな町も海外からの教育旅行や団体旅行をターゲットとする方向に変わっていきました。

 また当時三重県庁が台湾からの訪日教育旅行の誘致を進めていたこともあり、私たちも平成28年度から台湾への海外セールスを本格的にスタートしました。

 順調に台湾や中国等の東アジアを中心に訪日教育旅行や団体旅行の受け入れが年々増加し、体験コンテンツも充実することとなり現在に至ります。

 当初から滞在型観光事業のコンセプトは『ゲストもホストも「幸福」を感じる観光地域づくり』であり、このホストには、宿や体験事業者、観光事業者だけではなく、地域住民も含まれています。

 今後も持続可能な観光地域づくりを進めるために、今年度中に「JSTS―D」、来年度中に「GSTC」の認定を目指しています。住民・観光関連事業者・行政が一体となって観光地域づくりを進めることで、「地域資源を守りながら未来へつなぐ観光」を実現し、訪れる観光客(ゲスト)と地域(ホスト)の双方にとって、価値のある大紀町らしい観光地域づくりを目指していきたいと思います。


奥川氏

 
 
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