【口福のおすそわけ 573】栗を食べよう♪ 竹内美樹


 栗をいただいた。黒光りする大きな栗が、70個ほど袋に入っていた。ハテ、どうしよう? 高校生の頃、親友の家に遊びに行った折、お母さまが栗ご飯を振る舞ってくださった。あまりにおいしかったので、自分も作ってみようと、生の栗をむいている最中に包丁で手を切ってしまった。以来、どうも苦手意識が強くて、生栗に手を出していない。

 でも、ツヤツヤした栗は、いかにもおいしそう。コレを食べない手はない。とはいえ、スグに調理する時間もないし…とググってみると、チルド冷蔵もしくは冷凍せよとあった。前者の方が、甘みが増すというので、とりあえずチルド冷蔵することに。数日後、いよいよ栗との対決だ! そこで改めて調理法を確認すると、ひと晩水に漬けろという指示が。せっかく気合を入れていたのに、持ち越しだ。

 そして翌日、さて、コレをどうするか? 生栗をむくのは、やっぱり腰が引ける。しかもこの量だ。最終的に、半分はせいろで蒸し、残りは圧力鍋でゆでることに。圧力で栗が爆発するのを防ぐため、栗の先端のとがった部分に切り込みを入れなければならないが、空気の抜け道さえできればOKなハズと、先っちょを包丁でほんの少し切り落とした。こうすれば栗を手に持たずに済むから、ケガのリスクがグンと減る。

 まず、せいろにさらし布を敷き、その上に栗を並べ、再び布を置いてからふたを閉め、鍋の上へ。水から蒸す方が、甘みが出るらしい。蒸し時間は、沸騰してから約50分。やれやれ…と思う間もなく、残りの栗を圧力鍋に入れ、かぶるくらいの水を注いで火にかける。加圧時間は約10分、その後自然に冷まして圧を下げる。コチラは時短だ。

 さて、お味はというと? 蒸し栗の方が断然好み♪ ホクホクに仕上がり、甘みも強い。圧力鍋の方はしっとり軟らか。少しゆで過ぎたのか、多少水っぽい感じなのが、ちょっぴり残念…。後で知ったのだが、圧力鍋で蒸すという方法もある。水1カップを入れ、加圧5分蒸らし15分で皮がむきやすく仕上がるという。

 ところで、われわれが食べているのは、実ではなく種なのだそう。他の果実に例えると、イガが皮で鬼皮が果肉、渋皮の付いた中身が種にあたるという。あの厄介な鬼皮が果肉だなんて!

 それにしても、あのイガの中身を最初に食べてみた人ってスゴイ。実は、青森県の三内丸山遺跡の発掘調査で、何と縄文時代に、栗の栽培が行われていたことが分かったという。「桃栗三年柿八年」と言われ成長が早い栗を、食料としてだけでなく木材として、建物の柱や道具、燃料にも使用していたらしい。野生の栗より大粒の炭化した栗も出土しており、高い栽培技術を持っていたと推測される。縄文人、恐るべし。

 秋の味覚を少しでも長く楽しめるよう、できた栗は、冷蔵と冷凍に分けて保存した。味付けご飯の炊き上がりに入れ、一緒に蒸らせば、生栗を炊き込むより美味な栗ご飯になるのだとか。やってみようっと♪

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
 
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