東京雲海の上に三重塔がたたずむ庭園
藤田観光が運営するホテル椿山荘東京(東京都文京区)はこのほど、歴史ある日本庭園を活用した文化的取り組みにより、日本デザイン振興会が主催する「2025年度グッドデザイン賞」を受賞した。庭園を単なる景観としてではなく、技術継承・研究・人材育成の拠点として位置付け、宿泊施設の枠を超えた新たな価値を生み出している点が高く評価された。
受賞の背景には、明治の元勲・山縣有朋氏が造営し、藤田家が継承してきた同ホテルの庭園を、文化資産として再構築する一連の取り組みがある。コロナ禍においても庭園への投資を継続。「東京雲海」など体験型の演出やガーデンツアーを通じ、日本文化を五感で楽しめる環境を整備してきた。
また、京都の植彌加藤造園や島根の由志園といった伝統技術を持つ造園家と連携し、庭園を調査・研究・神座育成の場とする取り組みも進行。学術的支店に基づく調査や地域文化施設との共同企画など、庭園を”生きた文化資産”として未来へ継承する仕組みを築いている。
グッドデザイン賞審査委員会は、「現代の日本庭園が直面する課題として、技術者や後継者不足がある中で、庭園を単なる観光資源ではなく、人材育成や技術継承の場として再定義している点においても大きな価値がある」と評価した。
受賞を記念し、庭園の歴史や思想に触れるガーデンツアーを今冬から再開予定。現在は、庭園保全に参加できるレストランの食事プランを販売している。

東京雲海の上に三重塔がたたずむ庭園




