【VOICE】日本の「温泉文化」を世界に広めよう 群馬女将の会 会長 田村早代氏(温泉三昧の宿四万たむら 女将)


田村氏

温泉地は目標に向かって一致団結を

 日が少しずつ短くなり朝夕秋が深まってきたと感じる候となりました。

 旅行誌などで温泉特集の記事が多くなると、日本人のみならず、日本に住む人、日本が大好きな人、誰もが温泉旅の計画を考えるはずです。

 「忙しい日常を離れ疲れた体を癒やす」「地元食材で季節の料理を楽しむ」「自分への褒美や記念日を祝う」―など旅の目的はさまざまですが、温泉に浸かって深呼吸すると、心身ともに元気を取り戻せると感じる方は多いことでしょう。

 しかし世界に目を転じた時「高温の湯の深い浴槽にみんなで浸かる」のは、日本の温泉特有の文化であると知りました。

 旅館は、「和室の畳の上に布団を敷いて眠る」「お膳に出された和食をお箸で食べる」「急須で入れたお茶を飲む」―など、日本古来の生活様式、日本の文化が体験できる場所でありました。

 「いらっしゃいませ」とお出迎えし、「ありがとうございました」とお客さまをお見送りする毎日の中で、その顔となって旅館を切り盛りし、共に働く従業員たちを守り、地域社会との共生を図る「女将」が「おもてなし」をする場所でもありました。

 この、あまりにも当たり前にあった各地の「温泉文化」が、自然環境の変化、生活スタイルの変化、また人の交流の仕方の変化などで、その存続が危ぶまれる時代に突入していることも強く感じるようになりました。

 そんな危機感を持った仲間が集まり話し合う中で、ユネスコ無形文化遺産に日本の「温泉文化」を登録することがその保護と、広めるための最善の方策と「群馬県から温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録を実現する会」を発足させ、各温泉地が地道な活動を続けてまいりました。

 その活動が徐々に広がり、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、日本温泉協会、日本旅館協会が民間の推進組織として「『温泉文化』ユネスコ無形文化遺産全国推進協議会」を設立し、さらに自治体、県単位、国単位で「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産登録を目指す機運が発展してきたところです。

 常に切磋琢磨し、ライバルとなる各温泉地が一つの目的に向かい一致団結し、全国的に活動を進めていることも特筆するべきことと感じています。

 そこに、ぐんまの女将はもちろんのこと、全国の女将たちも、その実現を心から願い日々おもてなしに励んでいることも付け加えておきます。


田村氏

 
 
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