国土交通省東北運輸局は10月22日、東北地域のトレイルを訪れる旅行者からの寄付金活用に向けたモデル構築のための調査を実施すると発表した。みちのく潮風トレイルや磐梯・吾妻・安達太良ボルケーノトレイル®の安達太良エリアが調査対象。歩道整備や環境保全など地域負担の軽減策を探る。
高まる知名度と地域の負担
欧米豪市場を中心に知名度が上昇している東北地域のトレイル。みちのく潮風トレイルや出羽三山などを訪れる旅行者が増加傾向にある。一方で受入側の地域には、歩道整備や環境保全など受入環境整備のための大きな負担が生じている。
東北運輸局は関係者と連携し、トレイル来訪者へのヒアリング調査や国内外の事例調査を行う。これらの結果をもとに、寄付金の活用による観光地づくりのモデル構築を目指す。
ドイツメディア対象のファムトリップも
みちのく潮風トレイルでは、日本航空株式会社東北支社が主催するドイツのアウトドアメディアを対象としたファムトリップにおいて、海外の寄付事情などのヒアリング調査も実施する。この取り組みは11月12日に岩手県下閉伊郡田野畑村の北山崎ビジターセンターで公開される予定だ。
調査内容と活用モデル構築へ
調査は「外国人旅行者へのアンケート」「寄付金を募る調査」「ヒアリング調査」「先進事例調査」の4つの手法で行われる。旅行者の属性や旅行形態、トレイルの強みや求めること、寄付に関する意向などを総合的に調査。みちのく潮風トレイル関係自治体協議会や二本松市の協力のもと、デジタルや募金箱による寄付を募り、旅行者の反応を調べる。
調査結果はモデルとして構築され、後日セミナーを通じて東北地域のトレイル関係者や自治体、DMO向けに共有される予定。横展開も図る方針だ。
トレイル概要
みちのく潮風トレイルは青森県、岩手県、宮城県、福島県の4県29市町村にまたがる全長約1000キロメートルを超えるロングトレイルコース。東日本大震災からの復興に資するため環境省が策定した「グリーン復興プロジェクト」の取り組みの一つだ。日本一美しい断崖やリアス海岸の風景、世界三大漁場など見どころが豊富。
一方、磐梯・吾妻・安達太良ボルケーノトレイル®は、磐梯朝日国立公園に広がる3つの活火山と湖沼群をつなぐロングトレイルハイキングルート。日本百名山に数えられる「磐梯山」「吾妻山」「安達太良山」をつなぐルートで、周囲の温泉地や山小屋、キャンプ場に泊まりながら山歩きを楽しめる。




