東北運輸局は10月22日、2025年7月の東北6県における外国人延べ宿泊者数が17万3300人泊となり、前年同月比9.4%増加したと発表した。全国平均(1.3%増)を大きく上回る伸び率。コロナ禍前の2019年同月(16万6000人泊)と比較しても、約4.4%上回る水準まで回復した。
県別では宮城県がトップ、青森県が高い伸び率
県別の内訳は宮城県が6万6050人泊と最も多く、岩手県が2万9760人泊、青森県が3万9630人泊と続いた。前年同月比では青森県が18.1%増と最も高い伸び率を示した。一方、福島県は10.8%減と唯一のマイナス成長となった。
宮城県の好調さには仙台市の都市型観光の人気が背景にあるとみられる。一方で秋田県と山形県はそれぞれ1万840人泊、1万1480人泊と他県に比べて低調な結果となった。
市場別では韓国が最大、欧州も好調
市場別の外国人宿泊者数では、韓国からの宿泊者が最大となった。2025年(1月から7月)の韓国からの宿泊者数は累計64万2000人泊に達し、台湾(21万4000人泊)、中国(18万9000人泊)が続いた。
特に注目すべきは欧州からの宿泊者数の増加傾向だ。2019年には年間9万4000人泊だったが、2025年は7月までの累計で既に8万7000人泊に達している。北米・オーストラリアからの観光客も堅調に推移している。
全国比率は1.2%で横ばい
東北地方が全国の外国人宿泊者に占める割合は1.2%と前年同月と同水準だった。全国的には東京都(33.0%)、大阪府(16.3%)、京都府(8.2%)の3都府で全体の57.5%を占めており、インバウンド観光の首都圏・関西圏集中は依然として続いている。
東北運輸局管内の2025年7月における日本人宿泊者数は319万7360人泊で、前年同月比2.0%減となった。県別では宮城県が81万440人泊と最多で、福島県が80万3140人泊と僅差で続いた。
コロナ前水準への回復傾向
東北地方の外国人宿泊者数は2019年に年間150万人泊を記録した後、コロナ禍で大幅に減少。2020年は30万人泊以下まで落ち込んだが、2023年から回復傾向が鮮明となり、2025年は7月までの累計で106万7000人泊を記録している。
このペースが続けば2025年通年では約180万人泊に達する見込みで、コロナ禍前を上回る水準となる可能性が高い。東北地方のインバウンド回復は、韓国・台湾を中心としたアジア市場に加え、欧州や北米からの観光客増加が寄与している。
一方で日本人宿泊者数は減少傾向にあり、インバウンドの回復が地域観光を下支えする構図が鮮明になりつつある。




