お宿の経営は日々の小さな判断の積み重ねです。お客さまへの対応、スタッフとのコミュニケーション、施設の管理、地域やステークホルダーとの関係構築など、経営者として下す決断は多岐にわたります。しかし、あなたは忙しい日常の中で「今日の判断は正しかったのか?」「この方法でうまくいっているのか?」と立ち止まって考える時間を持てているでしょうか。
うまくいっている経営者に共通するのは、日々の経験を次の成長につなげる「振り返りの習慣」を持っていることです。そして単に過去を振り返るのではなく、その経験を「進化」へと変えていっているのです。あるお宿の経営者は三つのステップを意識して実践しています。
ステップ1:毎日の小さな振り返りを習慣にする
まずは1日5~10分の振り返り時間を確保します。日報やジャーナル形式で、その日の行動や決定を記録します。ある日の記録を見ると、
「今日は価格変更をしたが、予約の反応はどうだったか?」
「スタッフとの朝礼で伝えたことはうまく伝わったか?」
「チェックイン時の対応で気づいたことはあるか?」
など、その日の実際の行動記録が並びます。
これらの行動に対応する振り返りのポイントは、主観と客観を分けることです。
「お客さまが笑顔だった(客観)」と「きっと満足していただけたはずだ(主観)」を区別して記録します。毎日は短時間でも、週に一度は深掘りの時間を設けることで、パターンや傾向が見えてきます。
ステップ2:振り返りを四つに分類する
週1回のレビューでは、以下のフレームワークを活用します。
・やめること(Stop)
無駄や非効率、ストレスを感じる慣習や行動を洗い出します。例えば「毎日自分が全部確認している清掃チェック」を「信頼できるスタッフに権限移譲」することで、経営者はより重要な業務に集中できます。
・新たに始めること(Start)
改善や成長のために導入したい新習慣・仕組みを考えます。「月に1回、お客さまの声を集めたアンケートを精査する」や「取引銀行とのミーティングを月次定例化する」など、具体的なアクションを決めます。
・続けること(Keep)
うまくいっている施策・姿勢・習慣を明確にします。「チェックイン時の笑顔対応が高評価につながっている」「地元食材を使った創作料理が集客増加に貢献している」など、成功要因を言語化することで、スタッフとも共有しやすくなります。
・改善し続けること(Improve)
今のやり方をさらに洗練させる方法を考えます。「SNS投稿の頻度や時間帯を調整して反応をさらに高めたい」「フロント対応マニュアルにケースごとのロールプレイを導入」など、現状維持ではなく継続的な改善を目指します。
このレビューに使うフレームワークは、私自身経験上とても有益だと感じています。ぜひ実践してください。
ステップ3:「進化」を可視化する仕組みを作る
振り返りを記録するだけでなく、進化の過程を可視化することが重要です。GoogleスプレッドシートやNotionなどのツールを使い、「やめた/始めた/継続中」のリストを作成します。
定期的に進捗(しんちょく)を確認し、自分だけでなくスタッフにも見せられる範囲で共有することで、チーム全体の改善意識が高まります。「先月始めたお客さまへの感謝メッセージ送信で、リピート率が5%向上した」といった具体的な成果を共有することで、スタッフのモチベーション向上にもつながります。
失敗の法則その60
日々の判断を振り返ることなく、過ごしている。
その結果、進化を感じることなく、経営の停滞感が漂うようになる。
そこで、日々の振り返り↓レビューの仕訳け↓実践↓進化↓可視化↓レベルアップとモチベーションアップという、上昇スパイラルを自ら起こそう。
https://www.ryokan-clinic.com




