お宿の内部で発生しているトラブルは、経営者やスタッフにとっては大きなストレスです。このコラムでは、さまざまなアプローチから、現場のトラブルを解消する方法について、具体的な事例を交えながら述べてきました。その理由は、どこのお宿でも必ずと言っていいくらい、毎日トラブルが発生し、そのたびに当事者やその上司、経営者が解決に向けて悩み、知恵をしぼっているからです。
トラブルは無事解決できるものもあれば、何らかの理由で未解決のままずっと引きずったままになっているものもあります。
トラブルの解決は、可能な限り早く着手する必要があります。先送りすると問題が大きくなり、収拾がつかなくなることがあります。
そこで現場でのさまざまなトラブルを、いち早く現場の支配人や部門長、経営者に情報が伝わる仕組みと決まりが、確立できているかどうかがとても重要です。
まずは、しかるべきポジションへ素早くトラブルの情報をあげることです。
では報告されたトラブル情報はどのようにして解決していけばいいのでしょうか。具体的な以下のステップで対応します。
まずトラブル解決担当メンバーの選定をします。あらかじめトラブルを分類しておき、トラブルの種類ごとに担当メンバーを、解決プロジェクトメンバーとして割り振ります。実際には大部分が固定メンバーで、内容によってそれぞれの部門長が就くイメージです。
その解決メンバーは、起きたトラブルの検証と解決策を出し、現場へ指示するとともに、経営者を含む上司に指示内容を報告します。そしてその進捗(しんちょく)や結果についても共有する仕組みを作っておきます。
トラブルの解決は、表面的な症状の対処にとどまりがちになります。そのため、一時的に鎮静化しても、根本原因が解決されていない限り、再発する可能性があります。
多くの現場では、同じ種類のトラブルが繰り返し発生しています。これはトラブル自体が発生する根本原因の解決に着手していないからです。
あなたのお宿では何年にもわたり、同じようなトラブルが続いて発生していませんか。そして根本原因にメスを入れることなく、表面化した問題の火消しに終始していませんか。
それでは現場は疲弊してしまいます。現場はトラブル解決の場となってしまいます。だから、トラブル解決と同じタイミングで、同種のトラブル発生の是正処置を実施しましょう。
是正処置とはPDCAサイクルに基づき、同じトラブルを繰り返さないようにするための対策を講じることです。つまり検証することが最重要ポイントなのです。
検証は関係者へのヒアリングとそれに基づくオペレーションのプロセス検証を行い、改善策をPDCAサイクルで検証します。
お宿の経営者や幹部は次から次へとやらなければならないことが山積みです。だから緊急かつ重要なことから取り掛かります。そして緊急ではないが極めて重要なことが後回しになり、重要ではないが、緊急の案件を優先して実施してしまいます。だから大事な仕組みが後回しになり、疲労感が館内に漂うことになります。
是正の考え方は経営者の重要な課題です。これは経営者が幹部に指示しない限り、実践は難しいのです。ぜひトライアンドエラーを繰り返して取り組むことを、お宿の習慣にまで落とし込んでください。
失敗の法則その56
現場で起きるトラブルは、その都度解決に向け対処している。
ところがその後、同じトラブルが繰り返し発生する。
だから、二度と同じトラブルが発生しない仕組みと決まりを作ろう。
https://www.ryokan-clinic.com




