【観光経済新聞創刊75周年記念論文コンテスト優秀賞作品】中島勝喜氏


中島勝喜氏

中島勝喜氏

はじめに

 私どもホテル黒部は、「黒部峡谷鉄道トロッコ電車」や日本を代表する山岳観光ルート「立山黒部アルペンルート」で知られる温泉地「宇奈月温泉」にある中規模旅館です。創業は1965年。今年60年目を迎え、私が継いで8年が経つ会社です。客室数は現在39室。売上は年間約2.4億円、償却前営業利益で約2,500万円です。

 宇奈月温泉は今年で開湯102年目。現在9軒の旅館・ホテルがあり、年間で約28.9万人(R6年度)のお客様がご宿泊されます。黒四ダムに代表される黒部川流域の電源開発によって開発され、関西エリアに向けて大きな電力を供給している地でもあります。

 日本国内のどの温泉地もひと昔前のバブル期や、直近のコロナ禍を経て町並みや旅館数が変化していることと思います。宇奈月温泉もバブル期には20軒以上の大小旅館、民宿、保養所等が立ち並び、それはそれは賑やかな富山県随一の温泉地でした。

 それが今や旅館9軒。他の温泉地と同様にバイキング主体のチェーン系の旅館が混じり、日本の失われた30年の数々の苦難や試練を乗り越えながら栄枯盛衰を経験してきました。

 私は子供の頃から旅館の館内で育ちました。というか旅館の中に住まいがありました。

 …今旅館を経営されている多くの経営者の方でこんな経験はないでしょうか? 父母は朝早くから仕事をし、夜遅くまで事務所にいて年中休みなく働いている。酔っ払いの相手をし、夜の見回りで発見された嘔吐物を片付け、給料計算などの事務仕事をし、会計や予約の管理などを手書きで行い、レジと一体型のTECにデータを入力し、時に中居さん達と調理場の人間関係の相談に乗り、会合があれば慌ただしく出かけていく。私は両親のそんな様子をずっと見てきました。当然小学生の頃は夏休みに両親に遊んでもらった記憶はほとんどありません。土曜日に館内を歩いていると布団部屋に入っていく男女の姿を見つけてなまめかしい声を聞いてしまったり、客室テレビには館内放送用の100円投入箱があったり。…物心がついた頃には、なんとなく旅館にだけは勤めたくないなぁと思ったものです。

 最も強いものや賢いものが生き残るのではない、最も変化に対応したものが生き残るのだ。ダーウィンの進化論の一節です。では、今の時代にあった旅館経営とはどんな状態がベターなのでしょうか。世の中は働き方改革とか、生産性向上とか、ワークライフバランスとか、およそ旅館の仕組みそのものにイマイチ合わない言葉が並びます。一方で、観光は21世紀のリーディング産業とも言われ、最近はインバウンド需要の拡大で外貨を稼ぐ産業として注目されています。私が子供の頃とは明らかに違っています。そして、私どもの旅館もここ数年でずいぶんと変化を遂げました。あの頃が嘘のようです。

 私たちの旅館の大きな変化の部分が、旅館の定休日の確立でした。この論文では、毎週2日の定休日を導入(GW・お盆・年末年始を除く)したことで起きた様々なことを一つの参考事例としてお伝えしていきたいと思います。

旅館定休日導入への模索と経緯

 実は、私は旅館を継ぐか継がないかぐらいの時期から定休日導入を模索していました。神奈川県鶴巻温泉の「陣屋」さんの事例を何かで知り、どうすれば旅館で週休二日が実現出来るのだろう?とにかく話を聞きにいってみるか。という軽さで船井総研のセミナーに申し込み、女将さんの講演を聞きに大阪まで行きました。でも、正直なところ理屈は理解できても、自社に落とし込むために何が足りないのかが分かりません。そこで1年で最も暇な季節の冬場に、実験期間として強引に火曜・水曜に旅館定休日を導入してみました。

 自分たちも含めてみんな一斉に休めるのはいいのですが、やっぱり売上が少し下がってしまいます。わずかの売上も無くなりますし、平日の安いツアーも組みにくくなりました。結果として、ただその月の損益が悪化するだけでした。

 おかしい…セミナーでは一緒に経費も下がると聞いていたのに…。そんな模索をしながらも、結局は旅行シーズンになれば365日24時間営業の状態に戻ってしまうのです。

 その頃はコロナ禍前。北陸新幹線も開業し、365日営業を継続しつつも2019年10月決算当時の売上は約3.2億円、償却前営業利益で約2,000万円でした。

 そして、コロナウイルスの襲来となったわけです。

 多くの皆さんと同じく、コロナ禍は本当に大変でした。もうダメかもと思うことが何度も。

 毎月出ていくお金は約2,000万円。預金残は約5,000万円。何もしなければ約2ヶ月の命運です。4月に第1回目の緊急事態宣言が出され、不要不急の外出はしないようにと移動制限がなされました。

 こんな状況ですので…とGWに入っていた予約を自ら消していく作業。この作業をしている社員の電話の声を聞くだけで頭がおかしくなりそうでした。GWに静まり返った旅館内。どこか遠くの換気扇が動いているのが聞こえるくらい静まり返った状態を生まれて初めて経験しました。

 ここでは割愛しますが、コロナのせいで融資をはじめ本当に様々な苦境を味わいました。ですが、このコロナ禍が旅館定休日を確立するきっかけになったのです。今にして思えば、コロナのお蔭でこうなれたと言えるかもしれません。

 第1回目の緊急事態宣言が解かれ、マスクを強いられながらも少しづつ世の中が動き出しました。この間、私は年金を貰っている社員2人の肩を叩きました。派遣社員の再雇用契約もしませんでしたし、せっかく新卒で採用し続けた若い社員達が辞めたいと申し出ても引き止めませんでした。気付いたら約40人いた社員は半分の20人ほどになっていました。

 私は中小企業家同友会という会に所属しているのですが、そこでは「人を生かす経営」というものを掲げています。いくらコロナ禍で会社を存続させるためとはいえ、その大切な理念に反する行動をとった自分に忸怩たる思いが今でもあります。これは一生背負った十字架みたいなもので、だからこそ残って頑張ってくれた社員を一層大切にしようと誓ったわけです。

 さて、4月末から約2ヶ月の営業停止のあと、少しづつ週末のみ営業を開始した7月の損益を見てびっくりしました。あれ?150万円ほど単月で利益がでている!なんで?間違いか?と疑いました。ですがやっぱり少し利益が出ていたのです。その時の損益分岐点は1600万円ほどになっていました。毎月2,000万円かかっていたものが1,600万円になっていたのです。

 もうお分かりかと思いますが、第1回緊急事態宣言が明けたら、人件費や運営費が大きく下がっていたのです。社員数の減少とともに、この間に行ってきた多くの節約が功を奏していたのです。

 ここでようやく分かったのです。そうか、これまで週休二日で利益を出せなかったのはこういうことかと。

●実はこれまで社員が多すぎた
●運営経費の削減、無駄の削減は本気でやらないと実現しない
●細部における計画数字の根本的見直しが必要である

大きくはこの3つです。

週休2日旅館の考え方・作り方

 ここに至るまでには多くの試行錯誤がありました。そして、クリアしないといけないことが多くあります。そうしないと絶対に上手くいかないことが分かったのです。でも、よくよく考えてみれば当たり前なことばかりです。理念とビジョンをもとに、やるかやらないかです。

●実はこれまで社員が多すぎた
 365日24時間営業をするためには、社員が倍近く必要です。多くの旅館ホテルはシフトを組んで営業していると思います。例えば早番と中抜け勤務をするAさんは月・火休みで、遅番メインのBさんは水・木休みというように。これを考えるだけでも人事担当は一苦労です。ここで週休2日の定休日があると仮定してシフトを組んでみてください。すると全員の休みが統一されますので、シフトの大半が早番か遅番か中抜け勤務かに簡素化されます。この時点で余剰人員が分かってくるのです。

●運営経費の削減、無駄の削減は本気でやらないと実現しない
 次にするのは事業と経費の削減です。というか、やめることを探す(引き算を考える)のです。とかく旅館はあれもこれもと抱え込んで足し算を行いがちです。

 例えば、当館は売店をやめてしまいました。コロナ中に売店商品の多くは賞味期限切れだらけになりましたし、売店担当も退職していました。業者さんにも迷惑をかけました。また、売店の商品は売上があっても利益が少ないものが大半です。それならば売店を無くして温泉街のお土産屋さんを紹介するだけで解決してしまいます。温泉街に人は歩くし、棚卸しはしなくていいし、わずかの利益を得るための売店の人件費も削減できます。

 また、定休日の電話受付もやめました。定休日に予約の電話当番を置くと、そもそも社員全員で一緒に休むというロジックが崩れてしまいます。なので留守電を導入し一切の電話を受け付けなくしました。どうせ予約はインターネットで入ってくるのです。ホームページやSNSに定休日を示し、メール対応は定休日明けになる旨を記載しました。今は電話受付の代行サービスもあるようなので、それを活用するのも手ですね。

 昨今の電気代や燃料費の価格高騰にも少し対応できます。だって週あたり1.5~2日ほどは館内の照明を全て消しますし、冷暖房は全く使いません。温泉や再加熱のための重油も使わなくて済みます。塵も積もればです。

 大事なのは、やめる勇気と引き算なのです。

●細部における計画数字の根本的見直しが必要である
 次に、具体的には経営計画に落とし込む数字を細かく練り、各部署の業務の仕組みにも手を加えねばなりません。そして何より経営者が「絶対に定休日のある旅館にする!」という強い覚悟をもって社員全員を納得させることが必要です。当社は社員全員に経営指針書を毎年更新して配布していますが、みんなが笑顔で仕事が出来るためにやるぞ!と伝えて協力を仰ぎました。

 さて、年間で最終的に最低限必要な利益はどれくらいでしょう。当社の場合を一例にすると、現在の金融機関への年間返済額が2,000万円ほどですから、最低でもそれくらいは必要です。なので、返済原資となる償却前営業利益は最低2,000万円以上に設定します。そこから逆算です。利益を残し、社員に給料を渡し、諸々を支払う。そのためにはどれくらいの売上が必要かを模索します。エクセルですぐに作れるでしょう。

 その際、営業利益率を目安として出します。

 売上(A)-売上原価-人件費=営業利益(B) をまず出します

 そして、(B)÷(A) で出た数値が、50%を超えるように考えます。この50%というラインを越えると利益が出やすくなります。逆に50%を越えない場合はその原因を探ります。それは単純で、(1)売上が低いか、(2)仕入れ原価が高すぎるか、(3)人件費が大きすぎるか、の3つになります。まずはここを改善すればいいわけです。

 当社の場合、コロナ禍を経て売店仕入れが無くなり在庫が減り、社員数が減って人件費が下がりましたので数値が改善されました。

 そして重要なのは売上です。少しだけ単価を上げることは絶対条件ですが、満室にしないという選択肢も出てきます。なぜなら社員数20人では掃除が追いつかないし、料理を出す人員も足りないからです。以前のように全て料理付きのお客様で満室にするというわけにはいかないのです。

 そこでこうしました。39室あっても基本的に30室を販売部屋数にします。大は小を兼ねる。無理に満室にしないこと。現社員数で少し背伸びする予約数くらいがちょうどいいのです。

 お掃除は一人で行う場合1室30分。9時~14時までに10室できる計算で30部屋として3人必要。もし2~3部屋余分に可動させた場合や、連休日などで追いつかない場合は、他部署から(時には私も)掃除に行く。

 料理出しは調理場と食事会場の導線を短くして配膳負担を削り、一人で持てる組数は最大4組。24部屋分として6人必要。

 残りの6部屋は、1泊朝食か素泊まりのお客様を入れて部屋稼働を上げる。夕食は温泉街の飲食店に送迎。

 フロント・予約経理は早番2名、中抜け番1名、遅番2名ぐらいで回せます。調理場は2~3名、設備やその他の掃除係で3名ほどいれば回せます。

 もっと細かく説明すると、月の売上1,600万円が損益分岐点とするなら、オフ期はそれでいいのです。無理に安売りしたりツアーを組んだりせずにやりすごし、単月の赤字が小さければ小さいほどいいのです。

 週2日定休で月1,600万円の売上目標を4週で割れば1週当たり400万円で1日あたり80万円。でも平日の木曜日や月曜日は当然稼働が悪い。ならば、木曜と月曜は60万円が目標、金曜と日曜は80万円が目標、土曜日は120万円が目標として売上の目標カーブを作り、平均予約単価が20,000~23,000円としながら飲料売上(アサヒ、キリンを勧めず単価の高い地ビールなどを最初から勧めるなど)を伸ばせば、さほど難しい目標ではなくなります。これなら新人のネット予約担当や接客係でも出来そうです。7日間を無理して稼働させるのではなく、5日間を一生懸命に頑張ればいいわけです。

 オンシーズンに入れば自然と平日の稼働が上がり単価も上がります。結果として全て利益が出るわけです。そのためには、オンシーズンを基本に社員数を考えるのではなく、いかにオフシーズンをプラスマイナスゼロで乗り切るかで人員構成を考えるのです。

 ここで役立っているのが海外から来てくれる1年間だけのインターンシップ生です。彼・彼女らは大学生で時給です。協定で結ぶ年間の研修時間(=労働時間)の決まりを遵守すればいいので、人員構成の調整バッファになってくれます。忙しい時は残業手当を付けて頑張ってもらい、暇な時は休みか短時間勤務で終わってもらえます。学生達は日々の休みが多いほうが基本的に嬉しいですし、技能実習生と大きく違うのは1年経てば帰国となることです。

 当社は10月決算で11月から新年度がスタートします。宇奈月温泉は12月から4月の約半年がオフ期です。これはトロッコ電車もアルペンルートも冬季休業するからです。以前は無理に冬場に安いツアーを組み、ただ回転させる状態でした。今はそんなことをしなくて済むようになりました。最初から最低限の売上目標で、冬場は無理せずのんびり構えて雪に備えるのが基本です。春になりGWに入れば冬場のマイナスはすぐに解消するし、夏休みや秋の紅葉シーズンを迎えればすぐに目標以上の利益が確定するようになりました。

 お部屋掃除はどうでしょう。39室中9室を使わないことにすると、その分の余裕が出ます。何らかの事情で掃除ができない部屋が2~3室出ても、その部屋の掃除を暇な日に回しても大丈夫になります。そして、客室の中で毎日掃除しない箇所を見つけていきます。例えばテレビ裏の埃とりやエアコンフィルターなどは週1回でいいので、稼働の悪い月曜か木曜に集中的に掃除すればいいのです。これにより部屋掃除に係る勤務時間も均していける土壌ができます。

就業規則の見直し・同一休みのメリット

 週2日の定休日を正式に導入しながら運用してみると、大きなメリットだらけであることが分かりました。自分が夢見た旅館経営のスタイルが確立されつつあるいうことです。今ではそれが社内に定着し、社員達もその仕組みの中で定着率が上がり、元気に笑顔で働いています。

 確立されつつあるという曖昧な表現になるのは、就業規則・賃金規定も同時に見直しが必要だからです。就業規則は以前のものを基本的に踏襲していますが、修正予定でいます。現在は月に6日の休み(年休72日)で1日7時間の通常勤務となっています。部署にもよりますが、正社員は1時間の休憩と固定残業1時間を含み拘束9時間です。なぜこうなるかというと、定休日に入る火曜日の午前中は朝食とチェックアウトがあるからです。いくら木曜日は夕方のチェックインまでお客様がいないとはいえ、このチェックアウトに要する午前中の勤務だけは変えようがありません。もし週40時間労働で1日8時間通常勤務+休憩1時間の拘束9時間に修正すると、火曜日の午前中は5時間ほどの休日出勤扱いにします。そうすると理論上の公休が100日を超えることが出来ます。そうなれば新卒の採用も再開できるようになります。

 有休消化も最低5日が必要です。当社は年間で最も暇な4月上旬にまとめて消化をしてもらうのと、他の月にもとってもらえるようにしました。4月は旅館そのものを10日間くらい連続で休むのですが、そのからくりは、火・水が公休、木・金・土・日・月の5日間が有休消化、そしてまた火・水が公休。そうすれば最低でも9日間連続休みの完成です。前後に有給を1日追加すれば10連休も出来ます。社員達はのんびり旅行に行けるし、外国人の社員達は一時帰国も可能です。来年3月にはこの休みを使ってベトナムに行きます。以前のインターンシップの子達に会いに社員旅行の予定です。

 定休日のメリットをいくつか挙げてみます。

(社員)
・休みが一定で予定が立てやすくなる
・社員数人で一緒に食事に行ったり、全員で懇親会などのレクレーションが出来る
・オンとオフがはっきりして仕事に集中出来る
・日程が合えば研修に出しやすくなる

(経営者)
・大浴場を独り占めしたり、1日中寝れたり、とにかく心にゆとりが生まれる
・家族での食事回数が増える
・会合に出やすくなり、勉強に行ったり、未来を考える時間が増える
・静かな事務所で誰にも邪魔されずに仕事が出来る

(設備・その他)
・不良個所を定休日に修理できるようになり、業者さんやお客様に迷惑がかからなくなる
・電気、燃料を節約できてランニングコストを下げることが出来る
・月に一度、社員全員で清掃活動が出来るようになる
・全体ミーティングが出来るようになる

 などなど、他にもありますが、365日営業をしていては出来なかったことばかりです。
では、障壁となるのは何でしょうか?

・AGの部屋提供をどうするのか
・半日だけでもいいのではないか、電話対応をどうするのか
・連泊どうする、ツアーどうする
・売上が下がるという恐怖が抜けない…
・閑散期なら出来るけどシーズンは出来ないかも…
・そもそも旅館ホテルが休むなんて…という、昔から業界に蔓延する考え方

 分かります。私もそうでしたから。でも、思い切ってやってみて下さい。これらは杞憂に終わります。続けてきてみて、私は全くデメリットを感じたことがありません。休んで利益が前と同じ、もしくはそれよりもいいのなら、休んだほうがいいのです。むしろ他の旅館さんから羨ましがられます。

現在とこれから

 先日、富山労働局から電話がありました。労働局から電話なんてドキッとしますよね。少し身構えて電話にでましたが、悪い知らせではありませんでした。先進事例として機関誌に取り上げたいので取材してもいいですか?という内容でした。もう~驚かせないでよ~。もちろんOKしました。

 さらに、お世話になっている日本政策金融公庫からも連絡がありました。内容は、他の地域の旅館さんが、貴社の取り組みを教えて欲しいので現地視察をお願いできないか?とのことでした。まさか当社が他の旅館さんから先進事例として視察を受け入れることになるなんて思いもしませんでした。隣の芝は青く見えるといいますが、自社の取り組みが他館から青い芝になって見えていたのです。

 コロナ禍を経て、今は無理に頑張らなくていい旅館になりました。新卒で採用し、現在私の右腕になってくれている13年目の社員と二人で話します。あの頃とずいぶん変わったよねと。社長、すごく良くなりましたね!と言ってくれるのがとても嬉しいです。

 最後に、当社は金融機関からの融資の返済はあと10年で終わります。コロナ融資の返済の一部は5年後に終わります。そうすると毎年2,000万円の返済額が一気に減ります。計画では6年後の返済額が1,400万円ほどになります。そうなると毎年さらに余裕が生まれてきます。その頃には社員の給与を大きく上げたり、もしかしたら週3日休みの旅館も夢ではなくなるかもしれません。次の展開に向けて夢が膨らみます。

 みなさん、旅館定休日オススメですよ!特に女将さん達が一番喜ぶと思います。

中島勝喜氏
中島勝喜氏

【著者略歴】1971年1月富山県生まれ。1996年3月早稲田大学第2文学部卒。同年4月扶桑レクセル入社。1998年2月富山県観光連盟・いきいき富山観光キャンペーン実施協議会入社。2002年4月富山県アンテナショップいきいき富山館(財団法人富山会館)入社。2005年4月ホテル黒部入社、常務取締役。2018年2月代表取締役就任、現在に至る。宇奈月温泉旅館協同組合副理事長、黒部宇奈月温泉観光局理事、富山県中小企業家同友会経営労働委員長。

 
 
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