
ロイヤリティマーケティングと中央大学は9月27日、社会情報学会大会において「20代における飲酒頻度が及ぼすWell-beingへの影響」および「リモートワークとウェルビーイングの関係性」に関する共同研究を発表した。特に20代の外食での飲酒習慣がウェルビーイングに好影響を与える可能性が示された。在宅勤務についても充実感や自己満足度の向上が確認された。
共同研究では、ロイヤリティマーケティングが運営する「Pontaリサーチ」のアンケートデータを活用。2024年9月に収集したデータをもとに、10種類のウェルビーイングスコアを算出し、飲酒習慣や職場環境との関連を分析した。
調査の結果、週1回以上、自宅以外での飲酒をする20代は、自宅外で飲酒しない層と比較して「充実感」「自己成長」「職場環境」「協調性」「外向性」の各スコアが有意に高いことが判明した。特に低所得層ではこれらに加えて「自己満足」のスコアも高い傾向にあった。
年収400万円を境に低所得層と中所得層に分類した分析では、「外向性」や「協調性」において顕著な差が確認された。このことから、自宅外での飲酒が社会的交流の促進や対人関係の構築に関与し、心理的・社会的満足度の向上に寄与している可能性が示唆されている。
在宅勤務者も「充実感」「自己満足」が高スコア
もう一つの研究テーマである「リモートワークとウェルビーイングの関係性」では、会社員6,066名の勤務形態とウェルビーイングスコアを比較した。
分析の結果、毎日在宅勤務をする人や週に一部在宅勤務をする人は、充実感・自己成長・外向性・職場環境・自己満足など複数の因子で有意に高いスコアを示した。一方、毎日オフィスに出勤する人は「周囲との関係」では優位性があるものの、その他の因子では在宅勤務をする人に劣る傾向が確認された。
在宅勤務の課題としては、自由回答から「光熱費・電気代」「椅子・環境」「集中」「運動不足」といった在宅勤務特有の問題点が浮かび上がった。これらの要素が生活コストや身体活動量の低下、業務環境の整備不足といった形でウェルビーイングに影響していることが示されている。
基礎研究から生まれた「TOTONOID」
本研究は、ロイヤリティマーケティングが2025年7月から提供を開始したウェルビーイング発想のマーケティングサービス「TOTONOID(ととのい度)」の基礎研究として位置づけられている。中央大学iDSゼミとの共同研究により、変化する価値観や生活様式における行動や意識を可視化し、ウェルビーイングな消費社会の実現に向けたマーケティング戦略の精緻化につながる示唆を得たという。
ロイヤリティマーケティングは2024年度に「人と社会のウェルビーイング」を注力テーマの一つとして策定。2025年7月には「TOTONOID(ととのい度)」のサービス提供を開始し、ダッシュボードを無料公開するなど、ウェルビーイングへの取り組みを積極的に展開している。
研究に協力した中央大学のiDSプログラムは、学部横断型のAI・データサイエンス教育における実践的な学びの場として位置づけられており、異なるバックグラウンドを持つ学生が集い、共同活動を行っている。