【口福のおすそわけ 562】東京の讃岐うどん 前編 竹内美樹


竹内美樹の口福のおすそわけ

 このところ、うどんづいている。キッカケは、北九州発の人気うどんチェーン店。その後いろいろなうどんが食べてみたいと、次に群馬県の「鬼ひも川」を提供する「花山うどん」日本橋店へ。この辺りで、日本のうどんの王者「讃岐うどん」を食べておかなくちゃと、ザ・讃岐うどんの店へ。本店は香川県、もちろんセルフの「こがね製麺所」だ。
 
 場所は東京森下。香川県最大を誇る22店舗の他、全国各地で店舗展開しており、都内にも2店舗を有する。FC展開だが、うどん生地を仕入れている店だけでなく、店舗でうどんを仕込んでいる店もある。同店には、「本物の讃岐うどんを提供するために、練り、鍛え、熟成、菊揉(も)み、すかし打ち、包丁切り、全ての行程を店内にて行っております。その日の気温、湿度によって粉を練る時の加水、塩度を決めます。そして熟成時間、ゆで時間等も考慮しながら最高の讃岐うどんを提供いたします」と掲げられていた。
 
 今や全国にその名をとどろかす「讃岐うどん」が香川県で誕生したのは、小麦栽培に適した土地、近くの伊吹島産の良質ないりこのだし、小豆島産のしょうゆ、瀬戸内沿岸で作られる塩など、うどん作りに必要な材料がそろっていたから。中でも大切なのが、コシを生む塩水。昔からその塩分濃度は、夏と冬、そして春秋で変えられていた。それを考慮しているなら期待大だ。
 
 筆者が初めて香川県でセルフうどんを食したのが、釜玉発祥の店といわれる「山越うどん」だ。ちょっぴり緊張しながら列に並び、店員さんの前まで進み、注文のメニュー名と熱いか冷たいか、大か小か、つまり2玉か1玉かを告げると、ほぼ秒速でうどんが入った丼を渡される。さらに先に進むとトッピングコーナーがあり、天ぷらや揚げなどを自分でのせ、会計するというシステム。庭に出て好きな場所で食べるのだが、そこここにつけだしやかけだし、薬味が置いてあり、自分でかけていただく。釜玉は衝撃のおいしさだったが、コシのあるうどんが好みの筆者、冷たいうどんにとろろと生卵がのった「月見山」が一番♪
 
 さて、東京森下に話を戻そう。コチラの注文方法は券売機。明太子マヨ釜玉と天ぷら2個の食券を購入。天ぷらはどれでも1個180円で、自分で皿に盛る。えび天と青さのり鶏天を選び、入れ放題のネギとワカメ、天かすを入れて着席。うどんは釜玉の小で550円、山越の350円に比べるとやはり東京価格だが、ネギとワカメが入れ放題なのは太っ腹! 青さのり鶏天も、超ビッグサイズ!
 
 明太子に引かれて、つい釜揚げを注文してしまったが、冷たいうどんでコシを確認すべきだったと、ちょっぴり後悔。でも、ツルツルもちもちなおいしさは堪能できた。次回はざるうどんにして、麺にエッジが立っているか?確認するつもりだ。讃岐うどんには「ひやあつ」「あつひや」「ひやひや」「あつあつ」といった食べ方がある。それって一体? 次号へ続く。
 
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
 
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