
遊休資産を滞在拠点に、2028年までに全国125地域への展開目指す
JTBとAirbnb Japanは10月1日、地域の遊休資産を滞在資源として活用し、持続可能な「にぎわい」を創出するための新組織「地域未来にぎわい工房」を創設したと発表した。両社が核となり、多様な企業・団体と共に地域課題の解決に取り組む共創型の仕組みだ。2025年1月に締結した包括連携協定に基づく活動で、東日本での活動を経て「地域の暮らしを未来につなぐ持続的なにぎわい創り」の必要性を認識。観光支援の枠を超えた地域創生モデルの構築を目指している。
北海道上ノ国町で実証、2軒の遊休資産が宿泊施設に
「地域未来にぎわい工房」は地域貢献に意欲のある企業が専門性やリソースを活かして参画できる開かれた仕組み。地域の文化やアイデンティティに寄り添いながら、多様なパートナー企業と共に実践的な「にぎわい創り」に取り組む。
最初の実証地域として選ばれた北海道上ノ国町では、今年4月から地域住民や高校生が参加するDIYワークショップや、企業連携によるリノベーション、アメニティ整備などを実施。すでに2軒の遊休資産が宿泊施設に転換された。上ノ国町の工藤昇町長は「そとからの知見が加わることで、遊休資産が資源として捉えられ、再活用が進みました。今後、町全体で30〜40の泊まれる場所を整え、地域ぐるみで受け入れ体制をつくっていきたい」とコメントしている。
事業展開にあたっては、「再エネ地域」「産業集積地域」「防災対応地域」「離島・周辺地域」の4つを重点テーマに設定。2028年までに全国125地域への展開を目指す。すでに大日本印刷、良品計画、CCCカルチュア・コンビニエンス・クラブ、オリエントコーポレーション、損害保険ジャパンなどの企業が参画を表明しており、さらに共創企業の募集も開始している。
JTBの観光事業の知見とAirbnbのグローバルネットワーク、ホームシェアリングの経験を組み合わせ、持続可能な地域創生モデルの全国展開を進める。滞在環境において需要と供給のバランスに差がある地域を主な対象とし、それぞれの地域特性に合わせた取り組みを展開する方針だ。