
「粤動新次元」アニメ&トレンドトイ展が10月10日、東京・秋葉原で開催された。漫画家の里中満智子氏さんも登壇した。このイベントは広東省人民政府新聞弁公室、広東省文化観光庁、広東省文学芸術界連合会が主催し、南方報業メディアグループ南方国際コミュニケーションセンター(South)、IP Guangdong、東莞市人民政府新聞弁公室が協力し、中国駐東京観光代表処、広東省アニメ芸術家協会が全面的に支援した。
里中満智子さん
広東省文化観光庁の東田二級巡視員、東京中国文化センターの羅玉泉センター長、中国駐東京観光代表処の欧陽安首席代表、中国駐日本大使館文化処の王薇二等書記官、香港観光発展局日本支局の佐伯道子シニアマネージャー、国土交通省観光庁国際観光部アジア市場推進室の山川剛志室長、日本旅行業協会の小林千里氏など関連分野の代表、ならびに株式会社手塚プロダクションの松谷孝征代表取締役、ドキュメンタリー監督の竹内亮氏、公益社団法人日本漫画家協会理事長兼一般社団法人マンガジャパン代表理事の里中満智子氏、日本漫画家協会の倉田芳美理事、日中動漫遊戯産業連合会の関口貢代表理事、 日本の著名アニメーターである米山舞氏、広東省アニメ芸術家協会の金城主席、中山大学芸術学院の林帝浣副教授、株式会社中国電視の劉浜社長、東莞市トレンド玩具協会の葉祖峰会長などアニメや文化分野のゲストが、日中の文化観光組織、アニメ・トレンド玩具産業の代表、専門家や学者、メディア関係者など計200名以上とともに開幕式に出席し、中日文化交流の新たな章の幕開けに立ち会った。
東田氏は挨拶の中で、ビザ政策の継続的な改善により、中日間の観光交流が一層便利になっていると指摘した。そのうえで次のように述べた。
「広東省は中国の改革開放の最前線に位置し、経済規模は30年以上にわたり全国首位を維持している。開放度が最も高く、経済的活力にあふれる地域の一つであり、豊富な観光資源と多様な文化の共生、さらに便利で効率的な交通網を備えた世界水準の観光地である。粤港澳大湾区(グレーターベイエリア)は、広州の商都としての気風、深圳の革新の魅力、仏山に息づく嶺南文化、珠海のロマンチックな島々、香港の国際的洗練、マカオの多文化共存を融合させた、山と海が調和し美しさが共存する活気ある地域である。また、広東省は中国におけるアニメ・トイ産業の重要拠点でもあり、奥飛、咏声、永生といった企業が台頭し、『喜羊羊と灰太狼』『猪猪侠』『熊出没』などのヒット作を次々と生み出している。世界のアニメ関連商品の約4分の1が中国で生産され、そのうち約85%が『トレンド玩具の都』と呼ばれる東莞で製造されている。若者に人気のアニメやトレンドトイといった文化を通じて、東洋美学の現代的表現を示し、『広東製造』のイノベーションの物語を発信することで、両国、特に若い世代の相互理解を深め、交流の中で友情が世代を超えて受け継がれていくことを願っている」。
欧陽安首席代表は挨拶の中で、中国と世界各国との人文交流がますます活発化し、観光による往来も持続的に拡大していると指摘した。
「中国のビザ免除政策は新たな進展を遂げ、これまでに29か国と相互ビザ免除協定を締結し、40か国に対して一方的なビザ免除を実施している。また、55か国の国民に対し、最長10日間のトランジットビザ免除の便宜を提供している。2025年1月から8月までの中国の出入国者総数は延べ4億6000万人に達し、前年同期比14.9%の増加となった。このうち外国人観光客は5126万8000人で、前年同期比27.8%の増加を記録した。日本は主要なビザ免除対象国の一つである。同期間に日本を訪れた外国人観光客は2838万人で、そのうち中国本土からの観光客は671万1000人に上り、前年同期比約50%増と再び各国の中で最多を記録した。観光と文化交流は、双方向の往来によってこそ持続的に発展するものである。中国で最も開放的な地域である広東省は、世界水準の観光地づくりに力を注いでいる。本展を通じて、より多くの日本の友人に広東の文化的魅力と経済的活力を知ってもらい、発展の成果を分かち合うとともに、中日文化・観光協力がより質の高い新たな段階へ進むことを願っている」と述べた。
山川剛志室長は、「秋葉原での広東省アニメ&トレンドトイ展の開催は意義深く、展示内容は日中両国の文化交流と若者のクリエイティブな活力を見事に体現している」と述べたうえで、広東省が文化創造と観光の融合において示している革新的な実践を高く評価した。今後、文化、観光、産業の各分野で、より多くの実務的な協力が展開されることを期待していると語った。
展示会では、日中両国のアニメの傑作約50点と、広東のトレンドトイ約100点が展示された。会場には1万人を超える日本人および海外からの観光客が訪れ、熱気に包まれる盛況ぶりとなった。また、会場内では「緑・青・赤・茶」の四色で広東の風景を表現したプロモーション映像が上映され、来場者は嶺南地方ならではの山海の風情を存分に堪能した。
展示面積は約500平方メートル。会場はアニメ展示エリア、トイ展示エリア、インタラクティブ体験エリアの3つに分かれている。アニメ展示エリアでは、「源流――水墨画に宿る東洋の韻律」「交匯――友情の樹の枝葉茂る」「共振――デジタル時代の共創未来」をテーマに、伝統と現代が融合した芸術の魅力を表現している。
トレンドトイ展示エリアには、「中国トレンドトイの都」と称される東莞の特設コーナーが設けられた。ToyCity、拼酷、吾独友偶など、トップ企業約10社の代表作50点以上が一堂に会した。ToyCityの看板キャラクター「Laura」は、甘さとクールさをあわせ持つ変幻自在の魅力を放ち、拼酷の「獅子舞」や「千角灯」は嶺南の風情を独自の造形で表現している。吾独友偶の「中薬煲(漢方薬ポット)」は、情緒的な温かみと文化的価値に満ちている。
さらに、広州市、深圳市、東莞市、汕頭市など、広東省各都市を代表するトレンドトイも展示され、華強方特の『熊出没』、詠声動漫の『猪猪侠』、奥飛娯楽の『喜羊羊と灰太狼』、優必選の「悟空」ロボットなど、約100点の作品が来場者の注目を集めた。
改革開放以降、いち早く玩具産業の移転を受け入れた地域の一つとして、東莞は4000社を超えるメーカーと1500社余りの関連企業を擁し、完全な産業チェーンを形成している。これにより、中国最大の玩具輸出拠点としての地位を確立した。中国国際アニメ博覧会は15年連続で東莞で開催されており、この都市に国際的な視野と文化的自信を兼ね備えた「新たなトレンドの顔」を与えている。最新の統計によると、東莞市では一定規模以上の玩具企業288社が合計262億元(約5592億円)の生産額を達成しており、世界のアニメ関連商品の4つに1つが「東莞生産」となっている。東莞発のトレンドトイは、世界市場の検証に耐える品質を備えるだけでなく、文化の境界を越え、感情の共鳴を呼び起こす独特の魅力で、「製造の美学」を生き生きと体現している。
インタラクティブ体験エリアでは、日中両国の若手クリエイターの力を結集し、「日中青年クリエイティブ手作りワークショップ」やアニメキャラクターのコスプレ体験イベントが開催された。『哪吒之魔童降世』や『黒神話:悟空』、『落凡塵』などの人気キャラクターが登場し、多くの日本の若者が記念撮影を楽しんだ。早稲田大学、東京藝術大学、武蔵野美術大学などの学生も積極的に参加し、東洋美学がもつ創造的な魅力を体感した。
「粤動新次元――中日アニメ&デザイナーズトイ巨匠の広東探訪」をテーマとしたサロンでは、里中満智子氏、関口貢氏、倉田芳美氏、米山舞氏、林帝浣氏の5名のゲストが、日中アニメ産業における文化の共鳴と産業的共振について熱く語り合った。倉田芳美氏は、広東料理からインスピレーションを得た手描き原画を披露し、会場は大きな拍手に包まれた。
最も注目を集めたのは、贈呈式であった。簡体字版『鉄腕アトム』の出版者として知られる金城氏は、特別に記念の絵画『孫悟空とアトム』を制作。二人のクラシックキャラクターがハイタッチで“合体”する姿が描かれている。金城氏は、この特別な意味を込めた作品を松谷孝征氏に贈呈し、手塚治虫氏への敬意を表するとともに、日中アニメ友好の新たな章を開いた。
南方国際コミュニケーションセンターの責任者は、若者に人気のアニメとトレンドトイという文化媒体を通じて、東洋美学の現代的表現を示し、広東省のイノベーション・ストーリーを伝えるとともに、日中の若い世代が相互理解を深め、文明の交流の中で友情が永続的に受け継がれることを期待していると述べた。
「粤動新次元」アニメ&トレンドトイ展は、広東省の文化・観光プロモーションを契機に、アニメーションを架け橋とし、トレンドトイを媒介として、東京・秋葉原の地で創造性と文化が交差し輝きを放った。東洋の美学とベイエリアのイノベーションの魅力を映し出しながら、日中文化交流を促進し、意義深い友情の足跡を刻んだ。