【口福のおすそわけ 557】姫路の朝食ブッフェ♪~後編~ 竹内美樹 


竹内美樹の口福のおすそわけ

 前号の「ホテル日航姫路」内ALL DAY DINING「セリーナ」での朝食の続報。
 
 兵庫県の郷土料理の一つとして提供されていたのが「出石(いずし)そば」。POPには「関西屈指のそば処、出石。出石焼の小皿に盛りつけられたスタイルが特徴の『出石そば』。江戸時代中期、出石藩と上田藩の国替えにより、信州から来たそば職人の技法が出石で独自進化を遂げたとされる、歴史あるそばです」という紹介文とともに、兵庫県の地図上で、豊岡市出石町がどの辺りなのか示されていた。朝食の際、地元の食文化や地理などを学べると、旅の楽しさも倍増する。
 
 続いて「明石焼き」。ふんわり版たこ焼きを出汁(だし)につけて食べる同県明石市の名物料理で、「玉子焼」とも呼ばれる。ふわふわ食感のヒミツは、小麦粉でんぷんを精製した「じん粉(浮き粉)」が入っているから。出汁の隣に、ソースが並んでいた。なんと、先にソースをかけてから出汁につけて食すのが姫路流だとか。
 
 郷土料理の代表選手が、「姫路おでん」。POPには、「たっぷりの生姜醤油(しょうがしょうゆ)で食べるあっさり風味のおでんは、姫路市民おなじみの味。江戸末期から明治の頃に姫路に伝わったしょうが栽培と、当時盛んに生産されていた醤油が合わさった食文化とされています」との説明文が。四つに仕切られた大鍋で、ごぼう天、ひら天、ちくわ、卵、大根などが温められていた。
 
 同ホテルオリジナルの料理にも、地元食材がたくさん登場する。まずは「できたて豆腐」。「セリーナでは毎日厨房で作ったできたてをご提供しています。醤油の産地としても有名な兵庫県たつの市の醤油をかけてお召し上がりください」と書かれたおいしそうなお豆腐の前に、同市「矢木醤油」の「とことん豆腐通」と薬味が置かれていた。
 
 明石といえば、日本一の高級魚といわれる明石鯛も有名。炊き込みタイプの「明石風鯛めし」のほか、鯛のお刺し身も♪ 兵庫県但馬産の銘柄鶏「但馬どり」の蒸し鶏に添えられたのは、地元姫路「小松屋」のゆずみそ。同県神崎郡神河町特産のゆずを使用したものだ。
 
 調味料まで地元にこだわっているのがスゴイ。塩コーナーに置かれていたのは、ハーブソルトやレモン塩の他「家島(いえしま)の塩」と「淡路島の藻塩」! 実はこの塩、超激レアなのだ。特に「家島の塩」は入手困難。瀬戸内海家島諸島西島の「ヤマニ水産」が作っている。ミネラル豊富な海水をくみ上げ、まきで16時間も炊いた、大粒で甘みのある塩だ。
 
 最後に、忘れちゃいけないのがライブキッチン。黒毛和牛100%のミニバーガーを提供していた。全国のブランド牛の素牛(もとうし)として名高いのが、同県産但馬牛と考えると、やはり主役だ。
 
 1333年にとりでが築かれて以来、13氏・48代が城主を務めた姫路城。それぞれの出身地の文化が交り合い融合してきた歴史が、現在の姫路の食文化を育んできたのだろう。そんな地元への愛あふれるラインアップを実現している同館の朝食ブッフェに、拍手!

※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
 
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