【体験型観光が日本を変える413】スポーツの力を示した世陸 藤澤安良


 暑くて長い夏が終わり、彼岸になってやっと秋風が吹き出した。猛暑の中で9月13~21日まで国立競技場で世界陸上東京2025が開催された。暑さ対策のため早朝や夜のセッションとなった。会場の外では観客に対しても保冷剤やうちわや塩分を補給するタブレットが渡されるなど、熱中症予防への配慮がなされていた。

 日本人は体格的にも劣るとされており、持久力や忍耐力で戦えるマラソンや競歩では好成績を上げた選手は多いが、トラック種目では歯が立たないとされていた時代を乗り越えて、これまでも女子やり投げの北口榛花選手やトラックの3千メートル障害の三浦龍司選手などの活躍があり、今回もメダルをとった競歩や、いくつかの日本新記録を出した種目で日本人の活躍が目立った。

 私も48年前に国立競技場で3段跳びで全国大会に出場した経験があり、今回の地元で開催される世界陸上は陸上競技経験者としてまたとない機会であり、チケットを買って会場から観戦した。新しくなった競技場ではあるが当時が懐かしくよみがえってきた。

 会場の国立競技場での観客は連日5万人を超えた。一流アスリートの活躍に多くの感動をもらった。そして、大きな拍手と声援を送った。とりわけ日本選手の紹介や競技中の選手に向かって地響きがするほどの大きな怒涛(どとう)の声援が送られた。

 三浦選手が最後の水郷を超えて最終コーナーに差し掛かり一時3位に躍り出た瞬間は会場が弾けそうになった。残念ながらメダルは逃したが8位入賞と健闘した。

 応援している方もその空気に巻き込まれてテンションも最高潮となる。

 トップアスリートのパフォーマンスと応援する5万人を超える観客が一体となり、歓声と歓喜の渦に巻き込まれていく。男子棒高跳びのデュプランティスが6メートル30センチの世界新記録を樹立した日でもあった。それは夜のセッションの終了予定22時30分を超えるころであった。

 宿に泊まっている人や都心に住む人は帰宅可能だが、近県や遠くは公共交通機関では帰宅が難しい。すなわち、競技関係者はもちろん多くの観戦者の宿泊を生むことになる。スポーツイベントが選手、関係者、観客、テレビ視聴者を含め人間力を高めることになる。そして大きな観光資源となる。

 8月の訪日外国人が史上最高となるなど、世界各国から日本への旅行は増え続けている。しかし、日本人の旅行は残念ながら伸び悩んでいる。一方で国政では自民党の石破総裁の退陣が決まり、後任選びで10月初旬まで国政が前進しないと思われる。しかし、参院選の民意でもある物価高対策や手取りの増加が求められている中であり、国政の役割と期待は大きい。少数与党なので総裁は総理になるとは限らないが可能性がある。

 故に、物価高対策と経済政策が明確に打ち出され、個人所得が増えたり、減税や旅行割引制度ができたりとか、国民生活に直結した政策実現をする人物が総理になるべきである。行楽の秋に旅行に出かけたくなる機運が求められている。

 
 
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