
竹内美樹の口福のおすそわけ
前号、前々号でご紹介した兵庫県姫路市での宿泊は、「ホテル日航姫路」。駅前という好立地で、かの世界遺産「姫路城」にも程近い。まずは「グランドニッコー東京 台場」の塚田忠保代表取締役社長総支配人からご紹介いただいた、片岡哲総支配人にごあいさつ。
諸々の仕事や会食を終えてぐっすり休んだ翌朝、朝食を取るためホテル1階のALL DAY DINING「セリーナ」へ。自然光が差し込む開放的な空間で、中央にライブキッチンが常設されたブッフェスタイルだ。
後で「アレ食べとけば良かったぁ~」なんてことにならぬよう、大体のその内容を把握するために一度ぐるりと回ってみると、超充実でビックリ。地元食材や郷土料理がたくさん紹介されており、しかもそれら全てに説明文を記したPOPが添えられているではないか!
この品ぞろえだと全制覇はとても難しい。まずは和洋どちらをメインにするか、決めなくっちゃ! POPに「ソフトクリームやフルーツのトッピングもおすすめ!」の文字が踊るフレンチトースト、クロワッサンやカスタードデニッシュなどさまざまなホテルメイドパン、そして姫路名物アーモンドトーストにも引かれたが、やっぱり地元食材の多い和食に決定!
ちなみにアーモンドトーストとは、アーモンドバターをたっぷり塗って焼き上げたトーストで、姫路市民のソウルフードの一つ。観光協会の2023年の調査によると、年間消費量は何と100万枚にも上るそう。
さて、和食コーナーに並んでいたのは…? お米は、兵庫県多可町産コシヒカリと記されていた。多可町は、日本一の酒造好適米「山田錦」の発祥地として有名な県内有数の米どころ。棚田米コシヒカリも人気だ。
兵庫県が全国1位の生産量を誇る黒大豆で作った、こだわりのみそを使ったみそ汁もあったが、出汁(だし)茶漬けも魅力的。「お好みの具材でオリジナルの出汁茶漬けをお楽しみください」というPOPに誘われ、そのコーナーに進むと、お茶漬けにしなくてもおいしそうなご飯のお供がずらり!
辛子めんたいこにのり佃煮(つくだに)、しょうが佃煮、梅干し、わさび、味付けのり、納豆、いろいろな漬物に、とろろまである。そして、全国ふりかけグランプリの第1回、第2回で連続金賞を受賞した、兵庫県神戸市澤田食品のふりかけ「いか昆布」や、同県姫路市夢前卵の温泉卵、同市ヤマサ蒲鉾の練り物盛り合わせと豪華だ。
他にも、揚げ出し豆腐やししゃも、焼き鮭(しゃけ)などに加え、「神戸ポークと姫路葉野菜のセイロ蒸し」が。葉野菜は姫路市兼田地区のおかもと農園産。岡本将司さんご家族の写真入りPOPが添えられた、生産者の顔が見える野菜だ。
北は日本海、南は瀬戸内海から淡路島を介して太平洋に面し、中央部には中国山地が横たわる兵庫県。変化に富んだ地形がもたらす海山や里の幸の豊富さを、見事に生かした朝食ブッフェだ。あとはどんな料理がお目見えするか、続きは次号をお楽しみに♪
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。