ホテル料金漏洩で年間6%の収益損失 販売チャネル一元化が鍵


 エクスペディア・グループは9月30日、ホテル業界の販売施策の断片化が収益圧迫や業務負担増加につながっていることを示す国際調査結果を発表した。世界8か国のホテル収益管理担当者2,000人を対象に実施された調査で、ホテル関係者の98%が料金漏洩により年間平均6%の収益を失っているという実態が明らかになった。

料金漏洩が深刻な経営課題に

 調査によると、半数以上のホテル関係者が「毎週またはそれ以上の頻度で料金の漏洩が発生している」と回答。料金の一貫性維持が困難な状況だ。

 この問題に対処するため、ホテルはB2Bディストリビューションの管理に年間平均40,100ドルを費やしており、4分の1のホテルは5万ドル以上を投じている。多額のコストをかけているにもかかわらず、効果的な対策が取れていない現状が浮き彫りになった。

販売パートナーの多さが課題

 ホテル関係者の52%が「4〜6社の販売パートナーと取引している」と回答。多数のパートナーとの取引が料金管理を複雑化させている。また、54%が「すべてのチャネルで料金を適切に管理できている自信はあまりない」と答えており、現場の苦悩がうかがえる。

 エクスペディア・グループのホテルエンタープライズパートナーシップ担当シニアバイスプレジデント、スティーブ・クアン氏は「ホテルは販売が断片化されているために、毎年多額の収益増のチャンスを失っています。一元化され、自動化されたソリューションは、もはや選択肢ではありません。収益を守り、料金の一貫性を維持し、ホテルチームの業務負担を軽減するのに不可欠です」とコメントしている。

一元化ソリューションへの高いニーズ

 注目すべきは、ホテル関係者の99%が「販売プラットフォームを一元化することで、料金の漏洩を抑え、収益を守ることができる」と考えていることだ。この結果は、業界が課題解決の方向性について強い共通認識を持っていることを示している。

 エクスペディア・グループは、自社のグローバルB2Bネットワークを通じて、ホテルと世界中の厳選された7万のパートナーを接続するサービスを提供している。このネットワークは、予約時期が早く、滞在期間が長く、支出額の多い優良顧客へのリーチを支援するという。

 また、同社のB2Bディストリビューション料金に登録することで、宿泊施設は料金の割り当てをより効率的に管理しながら、料金の一貫性を保ち、グローバルな販売チャネルでの予約獲得を促進できるとしている。

 今回の調査は2025年8月8日〜13日に実施され、米国、カナダ、メキシコ、英国、フランス、ドイツ、オーストラリア、日本の8か国のホテル収益管理担当者が対象。独立系ホテル、小規模グループ(50軒未満)、中規模チェーン(51〜500軒)、大規模チェーン(500軒以上)の担当者が回答した。

 ホテル業界では、デジタル化の進展とともに販売チャネルが多様化し、価格管理の複雑さが増している。今回の調査結果は、効率的な収益管理のためには、断片化した販売戦略の見直しが急務であることを示すものだ。業務効率化とコントロール維持の両立が、今後のホテル経営の鍵となる。

 
 
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