少子化に歯止めがかからない(大阪・関西会場で)
この先、日本という国家は成り立っていくのだろうか―そんな思いを抱いたのが、総務省が先ごろ発表した国内人口の調査結果だ。
それによると、今年1月1日現在の住民基本台帳をもとにした、外国人を含めた総人口は、1億2433万690人で、前年と比べ55万4485万人減った。都道府県別にみると、人口増は東京都と千葉県のみで、45道府県で減少している。
外国人を除いた日本人の人口は1億2065万3227人で、前年から90万8574人減った。16年連続の減少で、調査を開始した1968年以降で減少数、減少率とも最大になったという。
一方、国内に住む外国人(3カ月以上の在留資格を持つ人)は367万7463人で、前年より35万4089人増え、調査を開始した2013年以降で最多となり、増加数も最多を記録した。
日本人の人口減少の背景の一つには少子化があるとされる。昨年1年間に生まれた日本人の子供は68万7689人で、前年比4万1678人減。死者数は159万8950人で、2万123人増えている。それぞれ過去最少、過去最多を更新したという。
政府は人口減少に歯止めをかけようと躍起になっているが、実効が上がっていない。
観光産業に限らず、人手不足に悩む業界は多い。このまま人口減が続くと働き手の確保はさらに難しくなり、立ち行かなくなる業種も出てくる。
日本人の生産年齢人口(15~64歳)は30年連続で減少しており、どこでカバーするか。目を向けるのは外国人労働者で、政府も在留資格「特定技能」を創設し、農業や介護、外食業などの分野で外国人の受け入れにかじをきっている。27年には技能実習制度に代わる「育成就労」もスタートさせる。
一方で気になる動きも。SNSなどでは「外国人の増加で治安が悪くなる」「外国人は優遇されすぎ」「受け入れに歯止めをかけろ」といった批判が相次ぎ、先の参院選でも「日本ファースト」を掲げる政党が躍進した経緯がある。
また、現在の自民党総裁選(10月4日投開票)では、5人の候補者全員が外国人受け入れ規制に言及し、論点の一つとなっている。
一部の訪日外国人によるモラルの欠如やマナー無視がニュースなどで多く取り上げられているのも背景にありそうだ。
外国人は働き手不足を解消する有効な手段の一つである。熱くならず、冷静な判断が求められているのではないか。

少子化に歯止めがかからない(大阪・関西会場で)




