JATA JOTCオセアニア・大洋州部会の秋山秀之部会長(左)と、豪州政府観光局のデレック・ベインズ日本・韓国地区局長
従来の連携を強化、新ブランド創設も
日本旅行業協会(JATA)は、日本人の海外旅行を促進する各種施策を展開している。同協会のアウトバウンド促進協議会(JOTC)オセアニア・大洋州部会は9月26日、愛知県常滑市で開催されたツーリズムEXPOジャパンで記者会見を開き、今後のアウトバウンド復活に向けた具体的な取り組み方針を発表した。2025年度は、来年以降に大型イベントが予定されている豪州への個人・団体の送客準備に着手する。
現状、日本―豪州間のアウトバウンド・インバウンドの割合は1対2で、訪日豪州人が訪豪日本人の2倍となっている。最盛期は年間80万人の日本人が豪州を訪れていたが、現在は約半数の40万人弱まで減少しており、アンバランスな送客状態の是正が急務となっている。
同部会の秋山秀之部会長は、豪州へのアウトバウンド回復を目指す背景として、2026年末に予定されている西シドニー国際空港の開港、2027年のラグビーワールドカップ豪州大会の開催などを挙げた。
今年3月、同部会では3月5日の「サンゴの日」に合わせ、豪州政府観光局、クイーンズランド州政府観光局と共同で個人旅行ツアー「サンゴ保全体験 SDGsプログラム」を実施。ケアンズ沖合の人工浮島をチャーターし、海洋生物学者による特別講義やシュノーケリング、アボリジナル・ピープルの民族音楽体験などを提供。145人が参加した。
今後は、同様の取り組みを1日限りのイベントではなく、環境問題や先住民族との共生を学習しながら、旅行代金の一部を現地に寄付できる旅行ブランドとして確立させる方向で豪州側と合意。同部会の個人・団体の両ワーキンググループ(WG)で具体的な検討を開始し、個人WGは25年度中、団体WGは26年度中に商品に反映できるよう準備を進める。現在は豪州側で専用のロゴマークを制作中で、今年10月末に発表予定。
同部会には、会員企業9社が参画。今年度は9社で取り組みを進め、今後は参画企業を増やしていく方針だという。秋山部会長は今後の目標送客数について、「(まずは)全体の底上げをしたい」とコメント。ワールドカップなど、来年以降の大型イベントなどに合わせてどのように送客を増やしていけるかも含めて検討し、送客促進に取り組んでいく方針を示した。

JATA JOTCオセアニア・大洋州部会の秋山秀之部会長(左)と、豪州政府観光局のデレック・ベインズ日本・韓国地区局長




