【口福のおすそわけ 551】お台場で味わう、土佐のごちそう~その3~ 竹内美樹


竹内美樹の口福のおすそわけ

グランドニッコー 東京台場」の「鉄板焼 銀杏」。残念ながら「高知フェア」は4月末で終わってしまったが、高知県の素晴らしい美味食材をお伝えすべく、「高知コース」の続き。
 
締めの食事は「四万十産鰻(うなぎ)の白焼きひつまぶし風ガーリックライス」。川上健朗シェフの見事な手さばきで、アッと言う間に卵入りガーリックライスが完成。その上に白焼きの鰻が載っているではないか。
 
四万十川は本流に大規模なダムが建設されていないことから、「日本最後の清流」とも呼ばれる。かつては天然ウナギが多数生息していたが、現在は河口で獲れた稚魚シラスウナギを養殖したものがほとんど。青や緑、黄色などの集魚灯が夜の水面を照らす、シラスウナギ漁の幻想的な光景が、四万十川の冬の風物詩だ。
 
育てたウナギは、加工前に四万十川の伏流水で数日間「泥抜き」する。奇麗な地下天然水を使うことで、ウナギの風味が良くなるのだとか。その身はふんわり軟らか。ガーリックライスとの相性もバッチリ! 最後はぜいたくにも、コレにお出汁(だし)をかけていただく。宗田節とエノキタケのお出汁が最高♪ 蒲焼でなく白焼きだから、ウナギのうまみがストレートに伝わり、ガーリックライスとお出汁と三位一体となって、オドロキのおいしさ!
 
一緒に提供された赤出汁の具にも美味食材が。まずは、高知県が生産量日本一で、全国の9割以上を占めるミョウガ。香り高くシャキシャキ感も楽しめた。
 
もう一つの具が「仁淀川きくらげ」の白きくらげ。川上シェフが乾燥きくらげを見せて下さった。生産者は株式会社ツボイ。高知県仁淀川町寄合の栽培棟は、標高約750メートルに位置し、昼夜の寒暖差が激しいため、肉厚でプリプリなきくらげが育つのだとか。
 
80%以上が水分なので、水の質にとことんこだわり、栽培から洗浄作業まで、ミネラルたっぷりな仁淀川源流の湧き水だけを使用しているという。実はこの白いきくらげ、アラゲキクラゲの白色突然変異種だそうで、とても希少な上、白く奇麗に育てるのが難しいらしい。ビタミンDや鉄分、カルシウム、さらにはコラーゲンも豊富とあって、うれしい限り。
 
デザートは「土佐文旦とヨーグルトのムース クラッシュゼリーと琥珀(こはく)糖を添えて」。高知県特産の大きな果実、土佐文旦とヨーグルトのムースに、文旦の果汁と果皮で作った濃厚なカスタードをかけ、生の文旦と文旦のクラッシュゼリー、文旦の琥珀糖をあしらった一皿。「食べられる宝石」として人気の琥珀糖は、外はシャリッと中はモチッとした食感の、寒天と砂糖でできたお菓子。文旦づくしで、優しい甘さと爽やかな香りに包まれた。
 
今回の高知フェア、食材が美味なのはモチロンだが、どのように調理するか、メニューを考案したシェフの力も大きい。過去には「三重フェア」「宮城フェア」にもお邪魔したが、各県の食材を存分に味わえる機会を作って下さっているホテルにも、大感謝!
 
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
 
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