カナダ・オンタリオ州 観光・文化・ゲーミング大臣 スタン・チョー氏に聞く


カナダ・オンタリオ州 観光・文化・ゲーミング大臣 スタン・チョー氏

オンタリオ観光の魅力は日本人観光客の嗜好に一致

 ――日本人観光客に特に人気のあるオンタリオ州内の観光地について教えてください。

 「トロントやナイアガラの滝といった目的地は、日本人旅行者の間で常に高い人気を誇っており、日本の旅行会社が提供するツアーパッケージにも頻繁に組み込まれています。秋のシーズンには、アルゴンキン州立公園が特に注目を集めており、圧巻の紅葉を目当てに多くの観光客が訪れます。この公園では、雄大な自然景観だけでなく、ムース(ヘラジカ)などの野生動物との貴重な出会いも楽しむことができます。アクセスの良さも重要なポイントです。エア・カナダは日本とトロントを結ぶ直行便を毎日運航しており、オンタリオへの渡航は非常に便利です。さらに、関西国際空港とトロント間の季節運航直行便も昨年に続き今年も導入されており、関西エリアからのアクセスも向上しています」

 

 ――日本からの旅行者をオンタリオ州に呼び込む際に直面している課題を教えてください。

 「オンタリオ州に対する日本市場からの関心は着実に高まっていますが、いくつか課題もあります。ひとつは『認知度』です。ナイアガラの滝やトロントのような有名な観光地は日本でも広く知られていますが、オンタリオ州全体の魅力である先住民文化に触れる観光体験、手つかずの自然が残る州立公園、多様性に富んだ食文化、そして活気あるアートやカルチャーシーンなどについては、まだ十分に知られていないのが現状です。また、長距離国際旅行の回復傾向も課題です。直行便や季節運航便の復活により航空アクセスは改善されてきていますが、パンデミック以降、日本からの海外旅行全体の回復はまだ段階的な状況です。そのため、旅行動向を注意深く見守りながら、日本市場に特化したキャンペーンへの投資を続けています」

 

 ――8月に開業した「ナイアガラ・テイクス・フライト」について教えてください。

 「ナイアガラ・テイクス・フライトは、ナイアガラの滝のすぐそばに位置する、没入感あふれる五感を刺激するアトラクションです。最新のドローン技術と巨大な180度のドームスクリーンを使用して、56kmにわたる飛行映像により、ナイアガラの地形、歴史、人々を称えるスリリングな空の旅へとゲストを誘います。ゴンドラのような吊り下げ式のシートに座り、最新鋭のモーションプログラミング、風や霧、香りまで感じられるセンサリー効果、足下から延びる幅17mの巨大なドームスクリーンを使用したライドで、フライトを擬似体験できます。このアトラクションは単なるライドを超えて、ナイアガラとその歴史、この地の人々を称える文化体験です」

 

 ――日本市場への期待と今後の成長可能性についてどのように考えていますか。

 「私たちは日本市場をオンタリオ州の観光セクターにとって非常に価値が高く、戦略的に重要なマーケットと位置づけています。日本人旅行者は文化や自然、質の高い体験への関心が非常に高く、こうした嗜好はオンタリオが提供する魅力と深く一致しています。今後を見据えると、文化観光やエコツーリズム、そしてあまり知られていない地域での体験型観光など、オンタリオの多様な自然や歴史を活かした分野で大きな成長の可能性があると考えています。より本物志向で意味のある旅を求める需要が高まる中で、トロントやナイアガラの滝といった定番の観光地に加え、カナダの首都であるオタワや、トロントとオタワの中間に位置する歴史ある街キングストンなど、新たな地域をご紹介できる絶好の機会でもあります」

 

 ――パンデミック以降、オンタリオ州の観光戦略はどのように変化しましたか。

 「COVID-19 パンデミック以降、私たちの観光戦略は訪問者の信頼回復と日本をはじめとする主要な国際市場とのつながりの再構築に注力してきました。日本市場はオンタリオ州にとって特に重要であり、日本人旅行者が求める高品質で安全、かつ文化的に豊かな旅行体験は、オンタリオが今後も提供し続ける強みです。私たちは日本の旅行代理店や航空会社などのパートナーと密接に連携しつつ、カナダ観光局との強力なパートナーシップも維持しています。日本とトロント間の直行便の再開は、アクセス改善における大きな一歩となりました。世界の観光環境が変化し続ける中で、私たちのアプローチは柔軟かつ市場ごとにカスタマイズされたものとなっています。特に日本に関しては、長期的な関係構築と信頼の維持を優先し、旅行者の期待を超える体験の提供を目指しています」

 

カナダ・オンタリオ州 観光・文化・ゲーミング大臣 スタン・チョー氏

【聞き手・kankokeizai.com編集長 江口英一】

 
 
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