
東京駅と成田空港を結ぶ片道1500円のバス「エアポートバス東京・成田」。片道千円の格安バスとしてスタートし、徐々に値上げが行われて現在は片道1500円となっているが、東京駅八重洲南口の乗り場前には毎日長い行列ができている。その多くが外国人観光客(インバウンド)。コロナ前の2019年には一部事前予約制となっていたが、コロナ禍以降は事前予約がなくなり、東京駅発については全て先着順での乗車になっている。
始発のバスは朝5時で、それ以降、夜19時30分発の最終バスまでほぼ10分に1本で、時間帯によっては同じ時間に2本(うち1本は銀座駅発東京駅経由成田空港)が発車することもある。
私も時々東京駅のバス停の前で見ているが、特に外国人観光客の利用が多く、1本目では乗れないことも頻繁に見かける。全て先着順になったこともあり、1~2本待てば乗れる状況となっている。日本人利用者にとっては1500円になったことで、京成電鉄の「アクセス特急」やJRの快速に乗車する場合よりも高くなり、格安バスでなくなったという声も聞かれているが、外国人観光客にとってはこの値上げはほとんど影響しておらず、大きなスーツケースを持った外国人の利用が目立つ。
そんな状況の中、10月1日にダイヤ改正が行われ、これまで銀座駅発着の便は全て東京駅を経由していたものを、銀座駅と成田空港を直行する便を増やすことが発表された。銀座駅直行は全部で20便(銀座発5便、成田空港発15便)となり、特に成田空港から銀座方面へ向かう場合には便利になる。利用者の多くは東京駅発着を利用することから、銀座駅発着の方が待たずに乗れる可能性が高い。
バス利用であれば、銀座駅・東京駅発の場合は第3ターミナル↓第2ターミナル↓第1ターミナルの順に停車するが、何よりも予約不要でほぼ10分間隔で気軽に乗車できるのは利用者にとっては非常に便利で、人気の理由だろう。成田エクスプレスはほぼ30分間隔、京成スカイライナーはほぼ20分間隔で利用できるが、どちらも全車指定席であり、どちらにしても特急券を事前に購入しなければならない。それに対して、バスの場合は予約不要で、満席で次のバスになってしまうこともあるが、大幅に待たされることもなく、各ターミナルにバス停があることで、歩く距離も少ないといったメリットがある。
外国人観光客にとっては口コミで1500円バスの存在は知られており、成田空港と都心のアクセス手段として完全に定着し、今回の増便につながったと推測できる。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)