
先日、シンガポールを訪れました。空港からは市内へは、MRT(地下鉄)を使います。
空港駅の窓口でICカードを購入してチャージ。日本と同様、自動改札をタッチして通過します。
シンガポールを訪れるのは久しぶりですが、改めてMRTに乗ってみると快適です。乗車時は整列乗車がされていて、車内は広く清潔。優先席も確保されています。バリアフリーも行き届き、どの駅でもエスカレーターが完備されています。多くの人が気持ちよく使えるように配慮されていて、荷物を持った旅行者には、とてもありがたいことでした。
シンガポールの地下鉄が整備されたのは、1980年代以降。路線網が大きく広がったのは、21世紀になってからです。そのおかげか、設計には余裕があり、設備も先進的です。
日本と同様、グーグルマップに時刻表が登録されているので、スマホさえ持っていれば、どの路線に乗ればいいのか、迷うこともありません。
料金も低廉です。短い区間なら日本円で100円台、長めに乗車しても300円前後です。日本と違って、路線により事業者が異なることもありません。乗り換えても初乗り運賃がかかることはなく、乗った距離だけ支払う、という合理性があります。
市内バスの事業者もMRTと同じなので、地下鉄から乗り換えると割引が適用されます。一つの事業者が都市交通を網羅的に運営することのメリットを感じさせてくれます。
シンガポールは、ライドシェアも発達しています。アプリで呼んだら、5分程度でやってきて、登録しておいたクレジットカードでキャッシュレス決済。ぼられることもなく、安心して利用できます。MRT、バス、ライドシェアと組み合わせれば、都市内移動で、本当にストレスがありませんでした。
公共交通に関して、日本は世界に冠たる水準に達しているとは思います。ただ、世界も進歩していて、「日本が優れている」とばかりはいえなくなっていることを、改めて実感しました。
とくに、複数の鉄道やバスの事業者が同じ地域で営業し、それぞれに初乗り運賃がかかるという日本のシステムは、改善できないものか、と思います。
せめて、1日乗車券などのフリーきっぷだけでも、東京や大阪といった都市ごとに、共通化できればいいのですが。
(旅行総合研究所タビリス代表)