
竹内美樹の口福のおすそわけ
本紙4月14日号で既報の通り、4月4日山形県かみのやま温泉「日本の宿古窯」にて、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会元会長佐藤信幸氏の旭日小綬章受章祝賀会が開催された。約350人が参集し、盛大な祝賀会となった。
佐藤氏の輝かしい偉業とご功績については、皆さまご存じの通り。祝賀会の末席を汚させていただいた筆者、諸般の事情で遅くなってしまったが、同会のお料理についてご報告したい。
会場は同館内「コンベンションホール 紅の花」。ズラリと円卓が並ぶ様子は圧巻だった。席に着くと、名札やお献立、カトラリーなどがおのおのセッティングされており、中でもひと際目を引いたのが、美しい布で包まれた箱。巾着のように見えるが、実は上からすっぽり被せてあり、同館ロゴ入り重箱のサイズとピッタリなオリジナル仕様。山形県知事をはじめそうそうたる来賓の祝辞や、佐藤氏の受章者謝辞、鏡開きなどが続き、乾杯の後いよいよお食事がスタート。スタッフがこの袋をサッと外せば、すぐに前菜入りの重箱が出てくるのは、参加者を待たせず、何ともスマート。
ふたを開けると、季節の前菜盛り合わせが顔を出す。壱の重は華やかな「山形の旬菜と彩りソース」。山菜やタコの柔らか煮、エビなどが三つの小鉢に盛り付けられ、地元食材のフキノトウソース・残雪ソース・さくらんぼソース・エゴマソースが、味と彩りに華を添える。
弐の重は山形県新ブランド魚「ニジサクラ」西京焼きとアワビの柔らか煮。ニジサクラは、色鮮やかで脂乗りの良い山形の県魚サクラマスと、育てやすいニジマスを交配させ、2017年に誕生したニューフェイス。3年以上の歳月をかけて育てられる大型マスで、バイオテクノロジーにより全てがメスだが、卵を持たないため、産卵に使うエネルギーが全部うま味として凝縮されるという。生食可能だが、火が通ったふんわり食感もまた超美味♪
日本で初めてコンベンションホールにオープンキッチンを導入したという同ホール。場内が暗転し、壁一面のスクリーンが上がると、オープンキッチンと調理長が登場する演出も。その価値が遺憾なく発揮されたのが、続く「ハマグリの餡平(あんぺい)と山菜の沢煮椀(さわにあん)」。柔らかなすり身を盛ったハマグリの餡平と、山菜の中ではほんのりした苦みのウド、うるい、こごみが上品なおだしとハーモニーを奏でている。何と、それが熱々で提供された。約350食ものお椀(わん)をこの温度帯で提供できるなんて、お見事!
本マグロや庄内産天然マダイなどのお造りを挟んで、特選山形牛2品。まずはステーキ。こちらも、これだけの人数分を、ちょうど良い焼き加減に仕上げるのはスゴイ! 2品目の山椒(さんしょう)しゃぶしゃぶは銘々鍋で。山椒風味のおだしだから、タレが必要ない。コレもまた絶妙なあんばいで、むちゃウマ♪
霜降りが美しい山形牛、正確には「総称山形牛」なのだが、それって…? さらに、まだまだ続く山形食材について、続きは次号で!
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。