
東京臨海高速鉄道(株)は10月1日、りんかい線新型車両「71-000形(ななまんいっせんがた)」の出発式を東京テレポート駅で行った。1996年の開業以来初となる新型車両導入。安全性・快適性を大幅に向上させた車両が注目を集める。
「新たなステージを象徴する車両」と社長
初運行を記念した出発式には、多くの鉄道ファンや関係者が集まった。駅コンコースでの挨拶で、西倉鉄也代表取締役社長は「新型車両は、まさに新たなステージを象徴するものになると考えております」と導入の意義を強調。「安全性や安定性、快適性、バリアフリー、セキュリティのすべてにおいて、現在の車両を大きく上回る性能の実現を目指しました」と語った。
開業以来30年近く活躍してきた「70-000形」に代わる新型車両は、2027年度上期までに全8編成・80両の導入を完了する予定だ。
「優しい微笑み」をイメージした新デザイン
新型車両「71-000形」は「海・都市・未来をつなぐ」をデザインコンセプトに掲げる。外観は「70-000形」の丸みのある面影を残しつつ、前面上部のひさし形状が横方向への広がりを強調。特徴的な前面カラーリングは「優しい微笑み」をイメージした親しみやすいデザインになっている。
側面は、東京湾ウォーターフロントの水辺空間を表現したエメラルドブルーのグラデーションを採用。内装はホワイトを基調にグレーやネイビーでまとめ、臨海副都心の洗練された都市景観をイメージした。座席はグレーとブルーを基調としたブロック柄で都会的な雰囲気を演出している。
安全性と快適性が大幅アップ
約30年ぶりの新型車両導入により、さまざまな機能が刷新された。安全面では、先頭車両前面に衝撃吸収材を設置し、車両構体の剛性を高めて衝撃時の安全性を向上。防犯カメラを全車両に搭載し、セキュリティも強化した。
バリアフリー対応も進化。床面高さを50mm下げてホームとの段差を低減したほか、すべての車両にフリースペースを設置。車いすやベビーカーを利用する乗客の利便性を高めた。また荷棚や吊手を低い位置に変更し、より多くの乗客が使いやすいよう配慮されている。
快適性も向上し、車体幅を広げて混雑時の圧迫感を緩和。座席幅も拡大し、大型の袖仕切りを採用した。ドア上部には2画面の液晶ディスプレイを設置し、乗換案内や運行情報などを提供。空調装置の冷房能力も向上させている。
臨海副都心発展を支える公共交通機関として
テープカット後、出発式は駅ホームへ移動。レッドカーペットに飯島康之管理駅長とりんかい線キャラクター「りんかる」が並ぶ中、新型車両が到着すると大きな歓声が起こった。多くの鉄道ファンが車内に乗り込み、その様子を確認。盛大な警笛とともに初運行へと出発する車両を、関係者が見送った。
西倉社長は「首都東京の未来に向け、臨海地域はますます発展していくエリアであり、この地域を支える公共交通機関として、さらなる安全・安定輸送の確保、安心のご提供、お客様サービスの向上を図り、その重要な使命を果たしていく所存です」と意欲を語った。
りんかい線は新木場と大崎を結び、JR埼京線との相互直通運転により、お台場方面から乗り換えなしで渋谷、新宿、池袋、大宮、川越までアクセス可能。10月3日には多目的次世代アリーナ「TOYOTA ARENA TOKYO」が開業するなど、今後も臨海地域の発展に伴い、さらなる利用者増加が見込まれている。