和歌山県の御坊日高教育旅行誘致協議会(事務局=和歌山県日高振興局地域づくり課)と紀州体験交流ゆめ倶楽部は6、7の両日、和歌山県みなべ町で世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」に関する体験型教育旅行のモニターツアーを行った。小学校4年生~高校1年生まで25人が参加。梅の木の皮を使った梅染め体験や梅畑の見学を行ったほか、一部参加者が民泊を体験した。
同県日高地域では、紀州体験交流ゆめ倶楽部による民泊受け入れと、間伐体験や炭焼き見学といった体験メニューの提供を実施。国内の学校だけでなく、東南アジアの高校などからの民泊体験を含めた教育旅行の受け入れを行っている。
このうち梅の生産が盛んなみなべ・田辺地域は、山の上部に薪炭林(しんたんりん)を残しつつ中腹部に梅林を配置することで、水源涵養(かんよう)や崩落防止を実現しつつ、高品質な梅を生産する仕組みがあり、「みなべ・田辺の梅システム」として世界農業遺産に認定。今年で認定10年を迎えることなどから、梅システムを学べる体験型教育旅行の推進と、民泊の受け入れ家庭の充実を目的に、今回のモニターツアーを行った。
みなべうめ振興館(みなべ町)に集合したモニターツアーの参加者らは、梅農家であり、同町認定の梅システムマイスターでもある上野章さんの案内の下、梅の品種や梅干しづくりのほか、水源涵養や多様な生態系の保持といった梅システムについて学習。梅にまつわる体験として、梅染め愛好会の指導の下、梅の皮を煮出した染色液を使った、絞り染めを行った。
その後、里山に広がる薪炭林と梅林の様子や、ため池をバス車内などから見学。昼食では、梅料理研究会による梅料理体験として、梅酢を使った鶏唐揚げやバラちらしなどを試食した。
午後からはみなべ・田辺に水を供給する島ノ瀬ダムや、南高梅の母樹を持つ紀州高田果園を訪問。島ノ瀬ダムではダムによる農業用水の安定供給などについて説明を受けたほか、堤体内のトンネルを特別に見学。紀州高田果園では、生梅のソースがかかったソフトクリームや梅干し4種の試食を行いながら、同園が取り組む、人にも環境にもやさしい梅栽培の取り組みについて学んだ。
炎天下のツアーとなり、梅システムのビューポイントでの散策などは行えなかったものの、参加した子どもたちは、さまざまな体験を通して、同地域の梅づくりの特徴や工夫について学習。写真を撮ったり質問したりする姿も見られた。

奥みなべ梅林のビューポイントから、里山を見学する参加者ら
また参加者のうち5人は、新たに民泊受け入れを始める家庭での民泊も体験した。
ツアー後に行った、参加者の家族などに勧めたいかを尋ねたアンケートによると、ほとんどの体験で10点中8点以上の評価を獲得。「梅が嫌いな人も食べられる料理があってすごかった」「梅づくしの1日でいろんな梅のことが分かって良かった」などの感想が寄せられたという。
事務局の山口和起氏は、「梅染めや梅料理など、総じて評価が高かった。いただいた意見を踏まえつつ、さらに教育旅行向けに磨き上げていきたい」と意欲を語った。




