【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 757】実行力を生むアクションプラン実践法(1) 青木康弘


逆境をチャンスにー旅館の再生プラン

 近年、資金調達や新規開発、業績改善、事業再生といった局面で、事業計画の中における「アクションプラン」の重要性が一段と高まっている。アクションプランとは、経営目標や事業戦略を、現場でどう具体的に実現するのかを定める行動計画である。「誰が」「いつまでに」「何を」「どの手順で」行うのかを整理し、さらに定量・定性の両面から達成レベルを示す。

 かつては、外部の専門家が中心となってプランを作成するケースが多く見られたが、そうした計画は現場の当事者意識を薄れさせ、実効性に欠けることも少なくなかった。表面上は立派な計画でも、目標未達が続き、金融支援を受けた後に再び資金支援が必要となる、2次ロスに陥る事例も目立った。

 近年の開発ラッシュで新設された施設でも、計画書は華やかながら、実際のアクションプランが現実に即しておらず、期待した成果が出ないケースが後を絶たない。こうした反省を踏まえ、現在では旅館・ホテル自身が主導してアクションプランを作成する重要性が広く認識されるようになってきた。現場自らが関わることで責任感が生まれ、実行力のある計画に仕上がりやすくなる。これは再生局面に限らず、新規開業や人材育成を進める経営者にとっても有効な考え方である。

 もっとも、多くの現場では日々の課題をその都度の指示で解決してきた経緯があり、あらためて計画書という形にまとめることに戸惑う経営者も少なくない。現場は実行するのが仕事であるとの文化が根強く、計画書作成に時間を割くことへの抵抗感もある。

 こうした壁を乗り越えるには、まず経営目標や戦略、各部門に期待する内容を経営者自身が整理し、わかりやすく社内に示すことが欠かせない。方針が曖昧なまま策定を指示すれば、単なる日常業務の羅列に終わる危険がある。アクションプランは既存業務を超え、目標達成のためにどのように工夫・改善するかを具体化するものであり、その本質を共有したうえで策定作業を進めたい。

(アルファコンサルティング代表取締役)

 
 
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