【中学校教育旅行特集2025】びわ湖大津観光協会、SDGs教育旅行プログラム 恵まれた環境で課題解決を学習


 滋賀県大津市は、約670平方キロメートルという日本最大にして最古の湖「琵琶湖」の畔、県の南西部に位置し、京都・大阪など近畿圏の約1450万人の生活を支えている。

 京都市に隣接し、JR京都駅から9分、市内中心部から車で20分と、京都市内から好アクセスという点もポイント。大津京遷都から1350年の歴史を持ち、最澄によって創建された天台宗総本山の比叡山延暦寺や、紫式部が源氏物語を起筆したといわれる石山寺など、歴史上の名だたる人物に愛され、自然と人々の暮らしが調和した美しい水辺の風景の宝庫。

 また、世界最大級の長さを誇るびわこ花噴水など琵琶湖の姿が一望できる風光明媚なスポットは観光客の支持を集める。

 びわ湖大津観光協会では、2022年12月に、SDGs探求学習プログラムを取り入れた「びわ湖大津SDGs教育旅行プログラム」を創設した。

湖上の貸し切り船から刺し網漁を見学する生徒たち
湖上の貸し切り船から刺し網漁を見学する生徒たち

 ■びわ湖大津SDGs教育旅行プログラム

 琵琶湖を中心に、自然、歴史、文化、産業といった多様な地域資源を教材とし、児童・生徒が現地で体験しながら、持続可能な社会について主体的に考える探究型の学習プログラム。自然のみならず、大津での体験学習(現地学習)と、事前事後学習を組み合わせ、地域の課題解決に向けた自らのSDGsの取り組みについて考える。事前学習では、訪問先について調べるだけではなく、住んでいる地域の課題についても学ぶ。

 現地学習では体験学習を通じ、大津市の課題や取り組みについて修得。

 そして、事後学習では、現地での体験を通じた気づきや学びから、地域に生かす自身のSDGsの取り組みについて考察。

 ■六つのテーマから選ぶ体験学習プログラム

 びわ湖でのウォータースポーツ体験、伝統産業や自然体験などを(1)自然(2)歴史(3)環境(4)文化(5)産業(6)経済の学習テーマに分類。自分たちが体験するプログラムがどんな学びにつながるのかを分かりやすくイメージできる。

 ■各プログラムごとに関連するSDGsゴールを設定

 各プログラムがSDGs17の目標のどれに該当するか示すことで、日々の学習につなげやすくなると同時に、初めてSDGsを学ぶ児童生徒向けに分かりやすく、学習教材(ワークシート)としても活用が見込める。

 ■琵琶湖とともに生きる産業と暮らしを知る

 琵琶湖を舞台とした産業や環境に関する体験学習はプログラムの中心の一つ。湖上では、貸し切り船から刺し網漁の様子を見学する体験を用意し、琵琶湖の生態系や水産資源の循環を知る機会となる。

 同時に、漁師からは、外来魚の影響、漁業の担い手不足、環境変化に応じた工夫など、現場のリアルな課題を直接聞くことができ、教室では得られない学びを得る。

 また、漁業体験の拠点となる堅田地区では、琵琶湖で唯一の造船所の見学を実施。観光船や漁船の建造・修理が行われ、地域に根ざしたものづくりと、琵琶湖の産業がいかに密接に関わってきたかを実感する内容となっている。

漁師からリアルな課題を直接聞くことができる
漁師からリアルな課題を直接聞くことができる

 ■水辺の自然とふれあい、気づく学び

 琵琶湖の自然環境についての理解を深める内容を充実化した点も特徴。特に湖岸でのウォーターアクティビティは、楽しみながら自然との関わりを学べ、好評を博す。カヌー体験では、湖と人間との関係性を身体的に理解する。

 また、水辺の植物のヨシに関する学習では、ヨシが果たす水質浄化機能や生物のすみかとしての役割に注目し、再生・保全活動の必要性を考えるきっかけとなる。ヨシを使ったクラフト体験では、実際に手を動かしながら自然素材の特徴を理解し、「環境にやさしい素材ってどんなものか」といった問いが自然と生まれる構成となっている。

 これらの自然とのふれあいの中で、「琵琶湖があるからこそ成り立つ暮らし」や「自然と共生することの大切さ」を五感で感じ取っている。この背景には、滋賀県が定めた地域独自の環境目標「マザーレイクゴールズ(MLGs)」の理念があり、SDGsをより身近な琵琶湖の視点から具体的に学ぶことにもつながっている。

 ■歴史と文化の継承から未来を考える

 大津市には、長い歴史をもつ文化財や伝統が多く存在し、これらを題材とした体験も大きな柱。例えば天台寺門宗の総本山・三井寺(園城寺)では、文化財の保存を目的とした森林の手入れを体験し、伽藍(がらん)や仏像だけでなく、それを取り巻く自然や山林が、地域の文化的景観を形成していることを体感しながら学べる。

 また、「大津絵体験」では、江戸時代に大津宿の街道文化とともに発展した民画にふれ、風刺や信仰をテーマとした絵の意味を読み解く。

「大津絵」体験の様子
「大津絵」体験の様子

 さらに、大津の秋を彩る伝統行事「大津祭」では、曳山展示館の見学に加え、通常は立ち入ることのできない曳山蔵や、練習会場の町家を見学する機会が設けられ、400年以上の歴史を持つ祭りの重みと、それを今に伝える地域の人々の思いを体感することができる。

 今後もびわ湖大津ならではの独自のプログラムを用意し、子どもたちに気づきやきっかけを与えていく。

 
 
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