竹内美樹の口福のおすそわけ
最近、「腸活」という言葉をよく耳にする。腸内環境の乱れは体の不調や免疫力の低下を招き、肌荒れの原因にも。さらに肥満や糖尿病、高血圧など生活習慣病のリスクも高めるそうだ。腸内には、善玉菌、悪玉菌と日和見菌が存在するが、善玉菌優位の腸内環境に整えるのが「腸活」である。
大切なのは食生活。善玉菌が多く含まれる食品と、善玉菌のエサとなり善玉菌を増やす食品を摂取することが肝要だ。前者はヨーグルトやナチュラルチーズ、ぬか漬けやキムチ、納豆、みそなどの発酵食品。後者は水溶性食物繊維の含有量が多いオクラ、なめこなどのネバネバ食品や海藻類など。中でも、今注目されている「β―グルカン」という水溶性食物繊維が豊富なのが「もち麦」だ。
もち麦とは、大麦の一種。大麦には米同様、もち性とうるち性があり、もち性の品種を精麦したモノがもち麦。農林水産省によれば、一般的にもち麦には、うるち性大麦の約1・5倍の「β―グルカン」が含まれ、それがデンプンを包み込んで消化を抑えるため、糖の吸収を穏やかにするそうだ。
もち麦が健康に良いのは分かったけれど、ちょっとクセがあって苦手、という方も多い。だが、あの独特の匂いの元となる酵素や変色成分を含まないため、非常に食べやすく、もちもちで冷めてもおいしいもち麦が存在するのだ。その名は「もち絹香」。ビール大麦の生産量では全国第1位を誇る麦どころ栃木県が、10年以上の歳月をかけて開発、2018年に品種登録された新品種だ。炊き上がりが「絹」のように白く、褐変しにくい特性と、「香り」の良さという、その名の由来通り、美しさとおいしさを兼ね備えている。
精麦を手掛けるのは、大正9(1920)年創業、栃木県佐野市の株式会社勅使川原精麦所(てしがわらせいばくじょ)。100年以上の歴史に裏打ちされた精麦技術で、もち絹香の白さを際立たせ、米粒に近い大きさに仕上げているという。
我田引水だが、筆者が役員を務める弁当製造販売の「神田明神下みやび」では、同精麦所とのご縁に恵まれ、コラボ弁当を発売する運びとなった。同精麦所のもち絹香は、健康に役立つ機能の表示が認められた「機能性表示食品」。「本品に含まれる大麦由来β―グルカンは食後の血糖値の上昇を穏やかにすることが報告されている」という機能性だ。その上、食物繊維の含有量もゴボウの約2・4倍、玄米の約4・5倍とダントツ! ただ、もち絹香は超希少品。現在流通しているもち麦のほとんどが輸入品で、国産自体が少なく、もち絹香は全国流通量のわずか数パーセントしかないのだ。だから弊社のお弁当も6商品からのスタート。とはいえ、こんなスーパーもち麦を使わせていただけるなんて、感謝しかない。その素晴らしさを生かせるよう、弊社でも幾多のテストを重ね、水分量や炊き方などに工夫を凝らした。もちもちプチプチで、クセになる味♪ それで健康にも良いのだから、得した気分。ぜひ一度お試しあれ!
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。




