【ちょっとよろしいですか 164】若い世代に地域の情報発信拠点を利用してもらう 山崎まゆみ 


 跡見学園女子大学で教べんを取って丸9年となります。

 「観光温泉学」と「観光取材学」を受け持っており、「観光取材学」の方は4年目となり、夏季の集中講義で実施しています。

 「観光取材学」では、人とのコミュニケーション術を身に付け、観光地の魅力を発信する際の情報精査について学びます。

 本授業では実践的な話をして下さるゲストスピーカーをお招きするのも特徴です。

 マスコミ関係者からは、NHKの職員であり「世界はほしいモノにあふれてる」などの情報番組を製作してきた敏腕プロデューサーが、情報番組の製作におけるキャスティングや取材から完成に至るまでを語って下さり、講談社で長く漫画や小説の編集をしてきた方からは、ヒット作品の舞台裏としての取材方法などを話してもらいました。

 JTB総合研究所の武田道仁部長は、長野県阿智村が「スタービレッジ」を立ち上げた時から地域の皆さんと共に実践してきた成功事例にはじまり、観光地におけるフィールドワークの心得など、幅広い内容のお話でした。

 こうした座学の後、新潟県に全面的にご協力いただきまして、「銀座・新潟情報館 THE NIIGATA」で「新潟を取材する」というテーマで、学生たちに取材・フィールドワークをしてもらいました。

 成績に反映する最終レポートは「新潟の魅力を同世代の女性に伝える」をテーマに執筆させています。

 まずは新潟県の基礎的な知識として、産業労働部の高本清彦さんが新潟県の産業をご講義下さり、観光文化スポーツ部の加藤昌治さんからは、この春に決まったブランドコンセプトの説明と七つのエリアによる魅力の差別化などをお話いただきました。講義は「THE NIIGATA」の3階イベントスペースを使い、その後、学生たちは興味に添った取材を敢行しました。

 最終レポートを読むと、世界遺産に登録された旬の地域・佐渡の意外性あるスポットを紹介したものや、「THE NIIGATA」で食べたおにぎりが人生で一番おいしかったことを理由に米について調べたもの、あるいはラーメンや新潟特有の手工業を取材したものなど、学生たちの新潟への興味は多岐にわたりました。

 さらに学生に「THE NIIGATA」の魅力と改善点、および同世代の女性に「THE NIIGATA」を知らしめるための方法という二つを課題として提出させました。

 銀座という土地柄、学生にとっては高級過ぎて近寄りがたい印象があったようですが、「新潟の名物や素材が建物内にあふれていて、プチミュージアムのようだった」「もっと知られてほしい。母に教えてあげた」という感想がほとんどで、大好評。

 同世代の女性への周知は、「インフルエンサーを呼ぶ」といった学生らしいシンプルな提言が多かったです。改善案としては「商品の陳列を新潟県の地域ごとにまとめ、地域の解説文も添えて、七つの地域が分かりやすくなる展示にしたらどうか。新潟は広いから、地域ごとの特産を知ることで旅を計画しやすくなる」といった実践的なものもありました。

 ちなみに私は、毎月第3月曜日に、新潟県の旬の情報を伝え、新潟ゆかりの方々との交流を目的とする「新潟プレミアサロン」のコーディネーターを務めており、はや40回を迎えます。今回の授業は「新潟プレミアサロン」の女子学生版と捉えています。

 実は、「観光取材学」を受けもった2022年度から、表参道にあった新潟県情報発信館「ネスパス新潟館」でお世話になってきました。
 
 このような首都圏にある各地方の情報発信館と、学生によるフィールドワーク授業を組み合わせれば、大学と自治体の双方にメリットがあるのではないかと改めて感じます。

    (温泉エッセイスト)

 
 
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