
逆境をチャンスに―旅館の再生プラン
観光市場は大きな転換点にある。ここ十数年は異業種からの参入が相次ぎ、国内外のマス層を狙った大型施設が全国で次々と開業してきた。しかし、人口減少や価値観の多様化を考えれば、このような経営のスタイルは近い将来に行き詰まることが避けられない。これからの旅館やホテルに求められるのは、幅広い層を追うのではなく、熱心に支持し、繰り返し足を運んでくれるファン層を育てることである。
この視点は、特に中小規模の施設にとって重要だ。大手と比べてOTAを通じた集客では不利な面があり、価格競争に依存していては利益が残りにくい。だからこそ地域の物語や文化を生かし、固定的なファンをつかむことが経営の安定につながる。その具体的な方法の一つとして、文化芸術の活用がある。今回はその中でも演劇に注目したい。
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