
JR西日本の倉坂昇治社長は、17日に東京都内で開いた会見で、駅弁の文化的価値確立を目指す調査研究と並行して、駅弁が持つ食文化としての意義や魅力に関する情報を全国的に発信していくことを明らかにした。具体的には、10月に京都市の京都鉄道博物館で「駅弁シンポジウム」を開催するほか、JRグループ各社などの協力を得ながら、全国の鉄道文化施設や駅弁販売店、イベントでの情報発信を展開する。【記事提供:交通新聞】
同社は、本年度に採択された文化庁「食文化ストーリー」創出・発信モデル事業「~郷土料理を伝承する日本固有の食文化~『駅弁』の調査研究・価値再構築事業」で、JR各社および駅弁事業者、有識者、地方自治体など多くの関係者の協力の下、駅弁の調査研究に取り組んでいる。
さらに、今後はこの調査研究と並行して、駅弁が持つ食文化としての意義や魅力に関する情報の全国的な発信に取り組む方針。この一環として、10月5日に京都鉄道博物館でシンポを開催する。
シンポのテーマは「駅弁のいまむかし、そしてこれからについて考える」。同館学芸員の岡本健一郎氏による研究報告「鉄道の歴史と駅弁」、まねき食品(兵庫県姫路市)の竹田典高社長による基調講演「まねき食品の歴史と取組~創業から海外進出、万博への出店について~」に続いて、竹田氏、相模女子大学社会マネジメント学科教授の湧口清隆氏、梅花女子大学食文化学科教授の東四柳祥子氏らによるパネルディスカッションが行われる。
定員70人、参加無料(別途入館料が必要)。さいたま市の鉄道博物館でもオンライン中継で視聴できるようにする。
このほか、今後は鉄道文化施設、駅弁販売店舗、販売イベントで情報を発信。鉄道博物館、京都鉄道博物館で公開講座、鉄道博物館で企画展、北海道鉄道技術館(札幌市)、リニア・鉄道館(名古屋市)、四国鉄道文化館(愛媛県西条市)、九州鉄道記念館(北九州市)でパネル展示を予定。
函館、新函館北斗、東京、名古屋、京都、新大阪、大阪、新神戸、岡山、博多駅の駅弁販売店舗(一部を除く)や、新大阪、松山、高松駅での販売イベントでチラシの掲出・配布を行い、「JR東日本 駅弁味の陣」「JR九州 九州駅弁グランプリ」イベント・ホームページ、JR西日本の情報誌などに情報を掲載する。
会見で倉坂社長は、「より多くの方々に駅弁の文化的価値への関心を持っていただきたい。駅弁の文化的価値に関する調査研究と情報発信を通じ、駅弁を鉄道文化として普及させ、地域の文化・経済振興や鉄道の旅の魅力向上を実現していきたい」と述べた。
【記事提供:交通新聞】