
暑い夏の終わりに、日本近海の海水温が例年より3度程度高く、太平洋の西部かフィリピン海で発生するのが当たり前だった台風が沖縄近海で発生した。九州、四国、東海地方に線状降水帯が発生し、豪雨をもたらした。水害や土砂災害に見舞われた地域も多く、交通や観光への影響も大きかった。
近年は、低気圧が発生するとセットで線状降水帯が発生するなど、局所的な豪雨被害が相次ぐことになる。防災グッズや避難場所や避難のタイミングなど話題は多いが、深刻な地球温暖化の影響についての対策が議論され、政策や行動に移さなければならない。
多分に気象変動の問題は米、野菜、果樹等の収穫量や価格にも影響する。また、海水温の上昇は、南方の魚種がどんどん北へと上がっており、漁業にも大きく影響している。
森林ではブナやドングリなどの木の実の不作が続いて、熊の生息域が脅かされ、人間の生活圏に現れることになり、熊に襲われ命を落とした人も大けがをした人も少なくない。獣害の問題は熊だけにとどまらず、あらゆる動物との共生が課題となっている。
課題が山積する中、参院選後、2カ月がたとうとしているが、最大争点の物価高対策などの政策が進まない中、選挙結果の責任問題で政局がいまごろ混乱している。
世情は不安定といえるような出来事が起こっている。ストーカーや男女の別れ話から、人の命を奪うような事件が相次いでいる。命が軽んじられるような国にしてはならない。心が病んでいるとしか言いようがない。
航空会社のマイレージがなくなるとかのメールが航空会社ではなかったり、証券会社や通販大手に取引がないのに情報の変更依頼があったり、届いてもいない宅配便の不在連絡があったり、それらは全て偽メールであった。詐欺の入り口である。どうも、外国からの仕業の形跡もある。
あらゆる詐欺が横行するこの世で自分の資産を守るのは大変である。被害額が億円単位となる投資詐欺の拡大もニュースになっている。この世界は、人をだまし、おとしめ、殺すようなことがあまりにも多い。
そもそも、面倒なことも大変なことも、人との交渉も、あつれきを生みそうなことも、避けたり逃げたりする人が多い。働かず、リスクは負わず、楽してもうけたいのは誰でも同じだが、昨今はその意識が特に強いのではないか。
日本の国際競争力の低下も心配になる。神代の昔から世の中そう簡単ではない。過日、一流企業の人事部の役員と会談したが、若手社員の対人関係構築能力、コミュニケーション能力、モチベーション能力が期待に沿わない様子であった。多くの社会問題や不足している能力は人間力に起因している場合が多い。
残る手立ては社会経験と教育である。人間力がついて、行動変容が起こる教育は人との交流と体験でしかない。学校教育、企業組織の社員職員研修、社会教育などのあらゆる教育の機会が体験交流でなくてはならない時期が30年前から来ている。体験交流により人間力を高め、日本の未来を開く時が来ている。