
私の視点 観光羅針盤
6月中旬にカナダ西部のカナナスキスで開催されていたG7サミット(主要7カ国首脳会議)が特段の成果を上げることなく閉幕した。1975年に日米と欧州の6カ国で始まり、今年で50年の節目を迎えたG7であるが、大きな成果を上げることなく閉幕したのは残念な現実である。
73年の第1次オイルショックを契機にして、当時の世界経済をけん引していた主要7カ国(日米英独仏伊カナダ)が安定化に向けた秩序形成のために首脳会議を開催したのが始まりだった。その後長らくG7サミットは世界経済の秩序形成の面で多大なる貢献を為してきた。ところが東西冷戦の終結に伴うグローバル化の進展によってBRICS(ブラジル、露、印、中国、南アフリカ)が台頭し、G7と並んで、BRICSなどを加えてG20が重要性を担うようになった。
さらに第2次トランプ政権の発足に伴って、米国はG7サミットのような多国間枠組みに嫌悪感を示しており、自由民主主義的価値観に基づく結束維持が困難になっている。現に今回のG7サミットでは、米国の意向に配慮してイランに先制攻撃をしたイスラエルの自衛権を支持し、イランを非難する一方的声明を出したことによってG7は存続の危機を自ら露呈させた。
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