
竹内美樹の口福のおすそわけ
以前、カエルとザリガニの鍋を食べに埼玉県西川口にご案内くださったご夫妻から、再び西川口に行かないかとお誘いが。今回は羊だ。ラムチョップは家でよく食べるが、ガチ中華の羊料理は初めて。店名は「小城」。公式サイトのキャッチコピーは「リトルチャイナ西川口の羊肉パラダイス」。外国人居住者数が多く、ガチ中華の店が集まる西川口は、リトルチャイナタウンと呼ばれているのだ。在日中国人の人口は2014年末の約65万5千人から、昨年末には約87万3千人に増加している。ガチ中華が増える要因の一つだ。
中国東北料理の同店、看板メニューは「烤羊腿(カオヤントゥイ)」(羊の足の丸焼き)。中国東北地方とは、遼寧省、吉林省、黒竜江省と内蒙古自治区東部のエリアを指す。旧満州があった地域で、日本との関係も深い。西はモンゴル、東は北朝鮮、北はロシアと隣接しており、食文化においてもそれぞれの影響を受けている。羊肉を食べる習慣はモンゴルの影響だ。同店では「烤全羊(カオチュエンヤン)」(羊の丸焼き)も楽しめる。
羊の足の丸焼きは、前足(税別4千円)と後ろ足(税別4800円)があり、後ろの方が大きいという。調理に時間を要するため、予約が必要。運ばれてきた足は、想像以上のビッグサイズ! 生ハム原木を一回り小さくしてふっくらさせたくらいの肉塊が、串に刺した状態で炭火の上にセットされ、ジュウジュウ音を立てていた。7人だったが食べきれるか? 写真撮影タイム終了後、スタッフに切りましょうか?と聞かれ、カットを頼む。その間、先に「烤羊排(カオヤンパイ)」(羊のスペアリブ焼き/税別3800円)をいただく。あばら骨部分で、適度に脂があって美味♪
小さく切り分けられた肉は、まだ生焼けで、炭火で焼きながらいただく。大量の羊肉を一つの炭火で焼いていたら時間がかかってしまうので、炭火コンロをもう一つ運んでもらい、ガンガン焼き続けながら食した。臭みは全く感じず、肉は軟らか。ミディアムレアが好みの筆者、自分の好きな焼き加減にできるのもポイントが高い。
途中、野菜も食べなきゃと、インゲンのピリ辛炒めとカリフラワーの炒め物をオーダー。インゲンはピリ辛どころか激辛! でも、ベースの味にうまみがあって、ついつい食べ進んでしまう。東北地方で主食として食べられている水ギョーザもいただいた。春節前には家族みんなで作って食す習慣があるという。年越しそばならぬ年越しギョーザだ。コンデンスミルクをつけて食べる揚げパンは、大連で食して以来で懐かしかった。
メニューにカエルの足の唐揚げを発見、思わず注文したら、大当たり! お肉はフワフワに軟らかく、外パリサクで中はジューシー。カエルちゃん、こんなにおいしかったっけ?ってほど超ベリウマ♪ お酒も進んじゃう。
そうこうしているうちに、羊も完食。7人とはいえ食べきったのはスゴイ! それだけ食べやすく美味だったのだ。まさに、羊肉パラダイス♪ 貴重な体験をさせていただき、感謝!
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。