
私の視点 観光羅針盤
全世界に関税戦争を仕掛けるなど、独善的・強権的政策を取り続ける第2次トランプ政権は、国内的にも学問の自由に対して深刻な脅威をもたらしている。イスラエルによるガザ攻撃への抗議活動が国内各地の大学に広がったことにいら立ったトランプ政権は、一罰百戒的に米国を代表する名門ハーバード大学に対して、教育内容にも踏み込む改革を要求。大学側は教育研究機関の独立を脅かすものとして要求を拒絶したため、政府による大学への22億ドル(約3190億円)の助成金の凍結や非課税資格の剥奪と共に、留学生に対する受け入れ停止措置などを公表し、公権力による大学への理不尽な弾圧を行った。
タイムズ・ハイアー・エデュケーションの2025年版世界大学ランキングのベスト10のうち、7校は米大学、3校は英大学。ベスト20のうち、13校は米大学が占めている(ちなみに東京大は28位、京都大は55位)。
世界的ベストセラー『21世紀の資本』の著者トマ・ピケティ(仏の経済学者)は、黄金時代と呼ばれた米国の1950~60年代の高成長について、「生産性が高かったのは、米国が地球上で最も教育に力を入れた国だったからだ」と指摘している。まさに教育は「国力の源泉」であるにもかかわらず、トランプ政権は教育の衰退と頭脳流出の加速を促進させる無謀な政策に踏み込んでおり、今後の成り行きを注視していきたい。
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