【鉄旅バス旅116】広島電鉄駅前大橋ルート 鎌倉淳


テツ旅バス旅(鉄道編)

 広島電鉄は、日本最大規模の路面電車ネットワークを有します。その起点である広島駅の停留所が、8月3日、JR駅ビルの2階に移設されました。

 遅ればせながら先日訪れてみました。JRの新幹線・在来線改札口と同じ平面のコンコースに、路面電車の停留所が配置されています。JR在来線改札口から1分、新幹線改札口からでも2分かからない程度でしょうか。

 4線を有する堂々たるターミナルは、想像していた以上に壮観で、近未来的です。発車案内板にホームごとの出発時刻が記され、市中心部方面への先着電車も案内されています。まるで、大都市の私鉄ターミナルのようです。

 開業から3週間ほどたっていましたが、まだまだカメラを構える客も多く、この新停留所を一目見ようと、各地からファンが駆けつけている様子がうかがえます。もちろん利用者は地元の方が多く、路面電車はたくさんの乗客を乗せて、次々と出発していきます。ホームも車内も人であふれ、これほど混雑している路面電車の停留所は、他にないでしょう。

 広島市中心部方面の電車に乗ってみました。出発すると、高架橋で地上に下ります。停留所の移設にあわせて、「駅前大橋ルート」と呼ばれるショートカットの新線が建設され、中心部への所要時間が短縮されました。実際、乗ってみると、市中心部の八丁堀に、「もう着いたの」という感覚で、以前に比べて近くなった印象です。

 ただ、八丁堀から先は、なかなか進みません。運賃支払いは降車時なので、降車客が増えてくる紙屋町から先へ進むと、停留所での停車時間が延びてしまうのです。

 路面電車の乗降時間を減らすには、全扉での乗降を認めることが有効です。実際、広島電鉄では、全扉乗降を一部で導入していて、現在はモビリーデイズというシステムを使うと、全扉での乗降が可能になっています。

 ただ、旅行者など、ふだん乗車しない利用者は、モビリーデイズを持っていないので、乗務員のいる扉から降りざるを得ません。そういう客は慣れていないこともあり、降車に時間がかかりがちです。

 将来的には、車内での現金扱いを止めて、ICカードやQRコードでの乗車に限り、全トビラで乗降できる形が理想でしょう。今後の課題と言えそうです。

 (旅行総合研究所タビリス代表)
  

 
 
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