
EYは9月14日、世界の消費者の意識を調査した初の「メディア・エンターテインメント(M&E)動向調査」を発表した。世界経済の不確実性が高まる中、消費者の実世界での体験に対する需要は依然として強いことが明らかになった。
実体験への根強い人気
調査によると、過去1年間に世界で最も購入されたエンターテインメント商品は、ローカルエンターテインメント(48%)とライブエンターテインメント(46%)だった。さらに回答者の21%は今後1年間にこれらへの支出を増やす意向を示している。
地域差も顕著で、米国の消費者は他地域と比較してカジノを訪れる可能性が高く(世界平均49%に対して66%)、アジア太平洋地域の消費者はテーマパークへの関心が高い(世界平均65%に対して74%)。
テクノロジー活用で体験向上
全ての年齢層の消費者がテクノロジーをエンターテインメント体験向上の重要要素と考えている。消費者が最も便利だと感じているデジタル機能は、デジタルチケット、地図と道案内ツール、非接触型決済とチェックインシステムだ。
特にZ世代は効率を重視し、66%が今後1年間でテーマパークのファストパスやプライオリティパスを購入する予定と回答。これは全消費者平均の59%を上回る。
プレミアム商品への高い需要
価格を重視する傾向がある一方で、消費者のプレミアム商品への需要は高い。過去1年間に大型テーマパークを訪問した回答者の約半数(49%)がアップグレードやプレミアムオプションを購入している。カジノやリゾート、スポーツイベントでも3分の1以上の消費者がプレミアム商品を選択した。
特にアジア太平洋地域の消費者は、大型テーマパーク(世界平均49%に対し59%)、スポーツイベント(世界平均37%に対し42%)、ライブエンターテインメント(世界平均26%に対し37%)などでプレミアムパッケージを購入する傾向が強い。
日本においても、東京や大阪の大型テーマパークでチケット価格が段階的に引き上げられている中、来場者数はコロナ禍収束以降、維持・増加傾向にある。また2025年7月に沖縄で開業したテーマパークでも、アトラクションの予約や優先利用が可能なプレミアムパスなどが用意されており、消費者の効率性や特別感を求める志向が見られる。
世代別の購入動機の違い
エンターテインメント体験を購入する主な感情的動機について、多くの消費者は「喜びや興奮を求めている」(62%)、「大切な人と充実した時間を過ごしたい」(55%)と回答している。
一方、若い世代(Z世代とミレニアル世代)は、上の世代に比べて「メンタルヘルスの向上」を挙げる傾向が強く、世界平均23%に対し、Z世代は32%、ミレニアル世代は27%だった。
Z世代はサステナビリティを重視
調査では、若い世代ほどサステナビリティに関する取り組みに追加費用を支払う意欲があることも判明した。消費者全体では地元産の食材(69%)と地域社会への貢献(67%)に最も追加費用を支払う意向を示した。
Z世代はカーボンオフセット(世界平均12%に対し28%)、低カーボンフットプリント(世界平均11%に対し25%)、節水の取り組み(世界平均11%に対し23%)など、すべてのサステナビリティ関連項目で追加費用を支払う意欲が26%以上高かった。
調査は米国、英国、西欧、アジア太平洋地域の4,000人を超える消費者を対象に2025年4月に実施された。