【VOICE】観光立国の未来をひらくには フードピクト 代表取締役 菊池信孝氏 


菊池氏

食の多様性へ対応を

 2024年の訪日外国人は3687万人、在留外国人は358万人と、いずれも過去最高を更新しました。インバウンド市場が堅調に回復するなか、ホテルや飲食店を利用するお客さまの多様性はますます広がり、同時にホスピタリティを担う従業員の多様性も拡大しています。

 また現在、世界の3人に1人には宗教戒律や菜食主義、食物アレルギーなどにより「食べられないもの」があります。国内でも多様な食文化や食習慣を持つ人が増加しており、誰もが安心して食事を楽しめる環境づくりは、観光産業にとって避けては通れない課題となっています。

 私たちが開発した国際品質の食材表示ピクトグラム「フードピクト」は、注意が必要な食材を非言語で可視化するツールとして、日本の玄関口である羽田・成田・関西の国際空港をはじめ、全国100社1600店以上のホテルや飲食店で導入されています。

 また現在開催中の大阪・関西万博では運営参加サプライヤーとして協賛し、会場内で飲食を提供する営業参加店の約8割をはじめ、国内外のパビリオンや催事など80カ所以上で活用されています。万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」を体現する取り組みの一つとして、お客さまへの安心提供と従業員の負担軽減に貢献しています。

 食と観光は、日本経済の成長をけん引する二本柱です。訪日外国人の地方誘客と地域経済の活性化を目的としたガストロノミーツーリズムが各地で推進されていますが、今後さらに多様化する旅行者の期待に応えるためには、「食の多様性への対応」がボトルネックとならない備えが求められます。

 地域の気候風土が生んだ食材や文化の魅力を、誰もが安心して体験できるように整えることは、地域資源の価値を高め、世界中の旅行者から選ばれる観光地づくりにつながります。

 私自身も「風土美食人(フードピクト)」として世界20カ国を巡り、食に関する国際会議や料理学会への参加、先進的な企業や大学の視察を通じて知見を蓄えてきました。その成果をまとめたレポート「アフターコロナの消費者が食に求める3つの役割と9つのキーワード」では、地域の食の魅力を最大化し、日本の食文化を世界に通用する体験価値へと高めるためのポイントを事例とともに紹介しています。

 食の多様性を理解し、社会全体で受け入れる仕組みを築くことは、持続可能な観光立国の基盤であり、日本が国際社会で輝き続けるための必須条件になることでしょう。


菊池氏

 
 
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