
THLの客室
観光業界が直面するさまざまな課題解決へ
人手不足や増え続けるインバウンドへの対応など、観光業界が直面する課題の解決に、デジタル技術を生かしたさまざまな商品・サービスが提供されている。ここでは「観光DX」を実践するための各種システムを紹介する。
ホテル・旅館専門の総合エンジニアリング会社のタップは、宿泊・観光産業に特化した世界初の実証実験施設「タップホスピタリティラボ沖縄(=THL)」を2023年6月、沖縄県うるま市に開設した。
THLには、さまざまな技術を活用した無人コンビニ、レストランに加え、合計38室の客室を設け、一部客室には、在不在センサーやCO2センサー等を設置。これらの技術をホテルシステム(PMS)と連携させた新たな価値創造に向けて日々実証実験に励んでいる。
通常、ホテルでは清掃時や緊急事態発生時などにさまざまな場面で部屋の中に人が「いる」か「いない」かを判断する必要がある。THLでは、顧客のプライバシーに最大限配慮しつつ、利便性とのバランスを見極めることを重要なテーマの一つとして検証を続けている。
そのため、客室にはカメラの代わりに在室状況がわかる各種センサー類を設置。また、PMSと連携することで、スタッフの省人化を実現している。当施設内には、すべての客室の状態等を一元管理している統合監視センターを設けており、将来的には、各客室の在不在状況を可視化することも計画している。そうすることで、清掃スタッフは、在室状況によって清掃部屋の優先順位付けが可能となり、清掃業務の効率化に寄与する。さらに、災害時においても、部屋の中の在室状況をスタッフ側が確認できることで、迅速かつ円滑に宿泊者の避難誘導ができるようになる。
タップは、今後もTHLで大企業を中心としたさまざまなメーカーとの連携強化を図り、多様化・複雑化する宿泊・観光業界の課題の解消および次世代型宿泊施設のモデル基盤構築を目指す。
THLの客室