
岡村氏
「ここでしか味わえない瞬間」を提供
群馬県最北端に位置するみなかみ町。
谷川岳をはじめとする雄大な山々、四季折々に姿を変える森と清らかな川、そして町の至るところから湧き出る豊かで新鮮な温泉。この恵みあふれる大自然は、首都圏約3千万人の暮らしを潤す貴重な水源地としての役割も担っており、古来より多くの人々を惹(ひ)きつけ、私たちの暮らしや産業と深く結びついてきました。
町の人々は代々この自然を守り、同時に生かしながら日々の生活を営んできました。
いま、みなかみ町はその理念を土台に、持続可能な観光地づくりを進めています。
ユネスコエコパーク登録、SDGs(持続可能な開発目標)未来都市認定、さらには「オーガニックヴィレッジ宣言」など、未来を見据えた方針を打ち出してきました。
大自然を舞台にしたアウトドア体験、地域の日常に触れる文化や歴史、地元農産物を生かした安心安全な食の提供など、訪れる人が「ここでしか味わえない瞬間」を体感できるよう多彩な取り組みを積み重ねています。
また、日本が誇る温泉文化を未来へ継承するため、業界全体で「温泉文化をユネスコ無形文化遺産に登録」を目指す動きも始まっています。
古来より人々の心身を癒やし、風土や伝統を育んできた温泉は、みなかみ町にとっても欠かせない宝です。
この文化を守り、世界に発信していくことは持続可能な観光を実現するうえで重要であり、私たちの歩みとも深く響き合っています。
観光は地域経済を支えるにとどまらず、人々の価値観や生き方にも影響を与え、未来を築く財源を生み出す大切な産業です。観光によって仕事が生まれ、若者が地元に戻り、移住や起業のきっかけも広がります。
こうした循環は都市と地方を結び、国境を越えて人をつなぎ、互いを尊重し合う基盤を育みます。地方から発する取り組みは、日本全体の魅力向上に寄与します。
自然や文化を守りながら来訪者を迎える姿勢は、世界における日本への信頼を高め、観光立国としてのブランド価値を築きます。
みなかみ町はその一翼を担い、地域の活力と日本の未来のため役割を果たしてまいります。
これからも自然とともに歩む観光を守り育て、次の世代に誇りをもって引き継げる地域を目指してまいります。
岡村氏