
運営体制を一本化
ロッテホールディングス(HD、玉塚元一社長CEO)と韓国ロッテグループのホテルロッテ(ジョン・ホソクCEO)はこのほど、日本国内でのホテル事業の拡大を目的とした共同出資会社「LOTTE HOTELS JAPAN」を設立した。2日に開いた3社合同の記者発表会で、2034年までに既存ホテルを含む20ホテルの出店を目指す方針を明らかにした。
ロッテグループは22年から「ONE LOTTE」をスローガンに掲げ、日韓それぞれの事業の強みを掛け合わせたグローバル戦略を推進してきた。日本国内では「ロッテシティホテル錦糸町」(東京都墨田区)と「ロッテアライリゾート」(新潟県妙高市)の2施設を展開しており、前者はロッテHD、後者はホテルロッテがそれぞれ運営していたが、今後は新会社が両施設の運営を引き継ぎ、運営体制を一本化。新規ホテルの開発や運営支援にも注力し、ホテルオーナーに対して事業拡張と収益向上の両面で価値を提供していく。
新会社の社長には、両ホテルそれぞれの運営会社で代表を務める福井朋也氏が就いた。客室の大規模リニューアルや、グリーンシーズンのアクティビティ拡充などに取り組み、業績向上を支えてきた立役者だ。
具体的な事業戦略として、既存ホテルの直営のほか、運営受託(MC)や賃貸借(リース)による多様な展開方式を導入。ロッテグループの自社不動産の活用も検討する。また、ホテルロッテが世界7カ国で展開している多様なブランドを踏襲しつつ、今後リリース予定の新ブランドの導入も検討。ホテルロッテが築いてきたブランドの魅力や世界観を、日本市場に合った形で展開していく。
出店は札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡、沖縄など都市力・観光力のある地域を中心に、34年までに20ホテル、4500客室を目指す計画(既存2ホテルを含む)。直営方式による旗艦ホテル出店も視野に入れるほか、ロッテアライリゾートとの相乗効果を図る形で、近隣の石川、富山県など北陸エリアでの展開も検討。既存ホテルのリブランド化にも対応する。
福井氏はロッテのコーポレートメッセージ「お口の恋人」にちなんだキャッチコピー「和心(まごころ)の恋人」を披露。また、ウェルビーイング経営の推進を強調し、「スタッフが充実感を持って働けることが、ゲストへの誠実な対応につながる。スタッフやゲストのみならず、ホテルを作る街に暮らす人々からも愛されるホテルを目指す」と意気込みを語った。
日韓連携でホテル事業拡大を目指す(左からロッテHDの玉塚社長、ロッテホテルズジャパンの福井社長、ホテルロッテのジョンCEO)