
パスタ好きな筆者、ジェノベーゼも大好物。地中海クルーズでジェノバを訪れた際も、発祥の店「ゼッフィリーノ」に行ったほど。その主役、生バジルがいつでも使えたらいいのに…と思っていたら、5月に某ショッピングモールでバジルの苗の鉢を発見! 7鉢購入した。ビニールの鉢からプランターに植え替えてテラスに置いたところ、驚くほどグングン育った。水をあげるだけで、こんなに収穫できるなんて!
バジルはシソ科メボウキ属の植物で、品種は150種類以上にのぼるそうだ。ペスト・ジェノベーゼに使われるのは本来「ジェノベーゼ・バジル」という品種だが、日本では手に入りにくいので「スイート・バジル」で代用する。英語で「バジル」、イタリア語では「バジリコ」、和名は「目箒(めぼうき)」。16~17世紀に熱帯アジアからヨーロッパに伝わったといわれ、日本には江戸時代に中国からバジルの種が伝来したとされる。バジルの種は水に漬けるとゼリー状の膜を張り、約30倍に膨張する。その正体は食物繊維。現代ではダイエットフード「バジル・シード」として流通しているが、江戸時代はゼリー状になった種を目に入れゴミを取り除いていたため、目箒という名が付いたそうだ。
ちょうど今が旬。ビタミンやミネラルが豊富で、栄養価的にも優れたハーブだ。それを生のまま効率良く摂取するには、やはりバジル・ペーストが一番。「ペスト・ジェノベーゼ」は原産地呼称保護制度で、原料や製法が定められており、それ以外は名乗れない。イタリア・リグーリア州ジェノバ近郊のプラ産バジルの若葉を使用し、同州産松の実と2種類のチーズ「パルミジャーノ・レッジャーノ」「ペコリーノ・サルド」、同州インペリア産ニンニク、同州D.O.P.「リヴィエラ・リグーレ」のエクストラ・ヴァージン・オリーブオイルと粗塩で作られる。
バジルが東京産だから、バジル・ペーストと呼んでおこう。ちなみにイタリアで「ジェノベーゼ」というのは、牛肉と香味野菜とトマトを煮込んだソースのパスタを指す。緑色のジェノベーゼには、すりつぶすという意味の「ペスト」を付けなければいけない。本場では大理石の乳鉢と木の乳棒ですりつぶして作ったペストを、トロフィエというショートパスタとジャガイモ、さやいんげんと和えるのが伝統的なのだとか。
ミキサーかフードプロセッサーか迷ったが、乳鉢で作ったペストはやや粒感があるだろうと考え、後者を選んで大正解♪ バジルは熱に弱いので、いった松の実を入れたボウルを氷水で冷やしてから、削ったチーズとプロセッサーに投入! 少し回した後、おろしニンニクと塩とバジルの葉を加え、もう一度スイッチオン。最後にふたの穴からオリーブオイルを注ぎ入れ、ガーッと混ぜたら出来上がり! 出来たてのバジル・ペーストは、超ベリウマ! バゲットに載せるだけで、口福の味♪ まだもう少し収穫できそうだから、また作ろうっと!
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。