
函館線の札幌―旭川間には、「カムイ」「ライラック」という2種類の特急列車が走っています。このうち「ライラック」は、789系0番台という車両を使っています。かつては特急「スーパー白鳥」として津軽海峡線を走っていた車両で、北海道新幹線の開業後、札幌―旭川間に転用されました。
先日、札幌駅を午後に出る「ライラック」に乗車しました。緑色の先頭車両の姿も、客室の様子も、津軽海峡線を走っていたころと、大きくは変わっていません。「スーパー白鳥」時代に乗った記憶がよみがえり、懐かしさを覚えます。
「スーパー白鳥」時代は、青函トンネル区間を、最高時速140キロで快走していました。しかし、いまは踏切のある地上区間を走るので、そこまでの速度は出せず、最高時速は120キロにとどまります。
それでも、札幌―旭川間は直線区間が長く、気持ちいいくらい飛ばします。札幌―旭川間136・8キロの所要時間は1時間25分。表定時速は96・6キロもあり、日本の在来線特急でトップクラスの速さです。
JR北海道は、この速度を向上させる計画を立てています。2024年に発表した中期経営計画で、北海道新幹線札幌延伸開業後に、札幌―旭川間を最速60分で結ぶ構想を明らかにしました。実現するには表定速度137キロが必要で、最高速度は160キロ以上が求められそうです。
狭軌在来線での160キロ運転といえば、かつての特急「はくたか」が思い出されます。北陸新幹線金沢開業前に越後湯沢―金沢間を結んでいて、北越急行線内で160キロ運転をしていました。しかし、踏切のない高規格の新線だからできたことで、古くからある函館線で実現するのは簡単ではありません。
この構想を、政府も後押しするようです。このほど発表された骨太の方針には「幹線ネットワークの高機能化」が盛り込まれました。新幹線の基本計画路線も含め、全国の在来線幹線を高速化するための検討をするということです。
具体的な区間は明記されていませんが、札幌―旭川間が検討対象に含まれるのは間違いないでしょう。実現には、高架化など、踏切の除却が必要になりそうですし、車両の改良も必要で、そう簡単な話ではありません。
しかし、在来線の最高速度が向上すれば、大きなブレークスルーです。楽しみにしたいところです。
(旅行総合研究所タビリス代表)