
東京商工会議所はこのほど、観光戦略をテーマにしたシンポジウムを東商渋沢ホールで開催した。「東京のナイトタイムエコノミー 成功のヒントを探る」と題したパネルディスカッションでは、訪日外国人旅行者を対象にしたコンテンツの造成や提供、プロモーションに多様な中小事業者の参入を促す必要性などについて意見交換した。
有識者3人が登壇したパネルディスカッションのモデレーターは、JTB総合研究所、研究理事の山下真輝氏が務めた。
ナイトエンターテインメントを規制する風営法の改正を主導したナイトタイムエコノミー推進協議会代表理事の齋藤貴弘氏は、現状と課題について、「東京にはコンテンツが足りないということは決してないが、強みとして世界に伝えられているのか」「ナイトタイムエコノミーにもっと多くの事業者の参入を促す必要がある。中小事業者にはサービスの付加価値化に挑戦してほしい」などと述べた。
訪日外国人向けのスナックツアーなどを展開するオンラインスナック横丁文化代表取締役の五十風真由子氏は「スナックは日本独自の文化。外国人のスナックツアー参加者は増えているが、多くのスナックは閉ざされた空間。そこでスナックガイドだ。ハイブランドホテルのコンシェルジュとも連携しており、ガイドとなら安心してスナックを体験できる。スナックをもっと有効活用してほしい」と語った。
英国・ロンドンで創刊されたシティガイドの東京版を手掛けるタイムアウト東京代表の伏谷博之氏は、ナイトタイムエコノミーとも関連する国内外で浮上するオーバーツーリズムの問題に関して、「地元の人たちの暮らしの部分と、観光客が期待している体験について、いかに最大公約数をつくれるのかが大事ではないか」と述べた。
また、シンポジウムでは、基調講演として、観光庁初代長官でアジア太平洋観光交流センター理事長の本保芳明氏が「日本観光の未来を展望する」と題して語った。
有識者によるパネルディスカッションの様子