
受賞した8地域の代表者と、選定委員
JTBはこのほど、農林水産省の「農山漁村振興交付金」を活用し、同省が認定した「農泊インバウンド受入促進重点地域」40地域の中から、特に食関連消費拡大につながる滞在プランの造成・販売に取り組む地域を表彰する「農泊インバウンド受入促進重点地域『令和7年度 地域の滞在プランコンテスト』」を初開催した。9月1日には東京都内で受賞結果が発表され、8地域が受賞。最優秀の「グランプリ」には、笛吹市農泊観光ツーリズム推進協議会が選ばれた。
8地域が受賞、農泊通じて地元特産品の輸出拡大図る
農林水産省は、「農泊」に取り組む地域を支援する「令和7年度農泊インバウンド受入促進重点地域支援事業」を展開している。2024年6月には、全国の重点地域の中からインバウンドの誘客体制を強化する40地域を「農泊インバウンド受入促進重点地域」に認定した。今回のコンテストは、これらの中から優れた滞在プランの造成・販売に取り組む地域を表彰するもので、JTBが事務局となり今年6月から7月まで募集した。
コンテストは、同社を含め楽天、ブッキング・ドットコムなど5社が協賛しており、「企業賞」5点と、「優秀賞」2点、最優秀の「グランプリ」1点を用意。各賞には、地域の取り組みのPRや支援サービスといった特典を付与するほか、応募のあった全作品は訪日外国人向けに農泊地域を紹介するWEB媒体『Another Japan is Waiting for You』にも掲載される。
今回グランプリを受賞したのは、笛吹市農泊観光ツーリズム推進協議会(山梨県笛吹市)の「富士山を越えてめぐる農の恵み ~世界農業遺産の地で味わう、人と自然の共生の知恵~」。ブドウを中心とする山梨県の農業と、静岡県の茶栽培の体験を融合したことが高く評価された。
選定委員長を務めた帝京大学教授の五艘みどり氏は、1日の発表会に登壇。通年で少人数の受け入れを行っていることに加え、多くの流通チャネルを活用している点もポイントが上がった要因だとした。
発表会には、農林水産省大臣官房審議官の坂本慶介氏も登壇。農泊で経済的な好循環が生まれるメリットを強調し、農泊を通じた地方誘客、地元産品の輸出拡大に理解と協力を求めた。
観光庁観光資源課課長の矢吹周平氏も総評コメントで登壇し、「(地域に)足を運んでもらうだけでなく、時間をいかに使ってもらうかが大事だ」と強調。「訪日客が時間とお金を使って地域を訪れるのはそこに感動があるからだ」とし、農泊への大きな期待を示した。
受賞した8地域の代表者(前列)と、選定委員。前列中央は、グランプリを受賞した笛吹市農泊観光ツーリズム推進協議会の運営責任者・辻千鶴さん。寺泊広域まちづくり協議会はオンライン参加のため不在
その他の受賞7地域、選定委員は次の通り。
【優秀賞】(2地域)
白峰林泊協議会(石川県白山市)「自然の聖地『白山』いのちの水を巡る旅」
大紀町地域活性化協議会(三重県大紀町)「伊勢と熊野の二大聖地を結ぶ熊野古道伊勢路~巡礼・食旅~Kumano Kodo Iseji Gastronomy Journey」
【企業賞】(5地域)
ABCクッキングスタジオ賞
おおぎみツーリズム地域協議会(沖縄県大宜味村)「よんな~沖縄・アグリ&アドベンチャートラベルin大宜見」
Booking.com賞
南丹市美山エコツーリズム推進協議会(京都府南丹市)「米がつなぐ暮らし~美山から伏見、米文化をめぐる旅~」
JTB賞
てしま農泊推協議会(香川県土庄町)「水がつなぐ島の物語」
オレンジページ賞
田原市農泊推進協議会(愛知県田原市)「Salt Voyage 海が結ぶ塩の道」
楽天地域創生事業賞
寺泊広域まちづくり協議会(新潟県長岡市)「『旨味』と『技』を識る、職魂(しょっこん)に触れる寺泊ガストロノミープラン」
選定委員(敬称略)
五艘みどり(帝京大学教授)
矢吹周平(国土交通省 観光庁 観光資源課 課長)
小林千里(日本旅行業協会 訪日旅行推進部 副部長)
廣川正英(農林水産省 農村政策部 都市農村交流課 課長)
門脇啓太(日本政府観光局 企画総室 次長)