
旅行会社を対象にした招請事業で、広島、岡山、大阪の魅力をメキシコに発信した(2025年1月)
2024年の訪日メキシコ人数は15万1835人、前年比60.4%増と、重点23市場の中でも高い増加率となった。2025年1~6月は8万4800人、前年同期比32.5%増と引き続き順調な伸びをみせている。年代別の構成比は20代、30代が全体の50%、次いで40代、50代が約30%を占める。
メキシコ人の旅行形態の特徴として家族旅行が挙げられる。親子2世代の家族旅行のみならず、多世代家族や親族を含める大家族、また友人同士が家族ぐるみで旅行することも珍しくない。日本滞在中は、全員で観光することもあれば、老夫婦はスペイン語ガイド付きの観光を楽しみ、若夫婦とその子供たちは公共交通機関を利用して、観光や買い物を楽しむというパターンもある。
ただ、食事は家族みんなで取るのがメキシコ人である。大人数となると予約を取るのが厳しくなるが、それに加えて食事の時間帯が遅いのが特徴だ。メキシコの平日の昼食時間は1時半か2時くらいから始まるのが通常で、週末は3時ごろからレストランが混んでくる。昼食時間が遅いので、夕食時間も遅くなる。
日本のあるホテルの方に、メキシコ人顧客から夕食の予約をリクエストされる時間帯がレストランの最終予約時間よりも遅いことが多く、時間を説明するとともに、「予約に遅れないように」と念を押すと聞いたことがある。こうしたことを説明することは特に初訪日者には必要なことだろう。食事が終わった後に出掛けられるお酒を飲む店やショッピングができる場所等を案内することも喜ばれるはずだ。
メキシコ人の訪日旅行は、東京、京都、大阪のゴールデンルートを訪問する人がまだ大多数だ。ただ、JNTOメキシコ事務所が昨年と今年に行った旅行会社との商談会では、「ゴールデンルート以外の旅行目的地を教えてほしい」という声が以前に比べ増えてきている。高付加価値旅行者の場合は、旅行会社が直島等のユニークな目的地を行程に加えることも多い。
当所は2025年1月、旅行会社を対象に広島、岡山、大阪へ招請事業を実施した。その中で、広島の視察は特に評価が高かった。宮島は「日本の文化を視覚的に体験できる魅力的な場所であり、顧客が日本の真の文化を感じられる」と顧客目線の評価が高い一方で、平和記念公園は「日本かつ人類の歴史の一部として非常に重要かつ有益な経験である」「歴史を語り継ぐために大切な場所であり、多くの人に訪れてほしい」と訪問者自身の体験による評価も高いものとなった。
メディア・旅行会社に向けてはゴールデンルートからプラスして訪問可能な旅行先を、インフルエンサーにはメキシコからの訪問者が少なくまだ知られていない旅行先を、招請事業を通じて情報発信を行い、一人でも多くのメキシコ人が地方へ足を運ぶよう努めていきたい。
旅行会社を対象にした招請事業で、広島、岡山、大阪の魅力をメキシコに発信した(2025年1月)