【旅館ホテルのおもてなし 94】旅館ホテルのこれからの役割① 大谷 晃


 旅館ホテルの役割とは何でしょうか。
 
 お客さまに宿泊していただき、滞在中、心ゆくまで楽しんでいただくために、おもてなしに努めること、それがこれまでの旅館ホテルの最大の役割でした。しかし、時代が移り、団体旅行から少人数の個人旅行へと旅行の形態が変わり、また人口減少も進み、人手不足も深刻になる中、これまでのような単なる“おもてなし”に努めるだけでは、旅館ホテルは生き残れないところにまできています。
 
 ●“非日常”という感動
 これまでの旅館ホテルはお客さまに“特別な日常”を味わっていただく場所でした。心地よい和室で、美しい景観を前に日本料理に舌鼓を打ち、温泉に心ゆくまでつかる。そしてなによりかゆいところに手が届く「おもてなし」を受ける。そんな特別な日常を旅館ホテルは提供してきました。
 
 しかし、これからはそれだけではない“非日常”の世界をもお客さまに提案することが必要です。それが存続の鍵になると考えます。
 
 一般に、旅館ホテルは風光明媚だったり、美しい自然に取り囲まれたりする場所にあります。そこに住む人はその風景を毎日見慣れているために、それがどれほど素晴らしいか気づきにくいのですが、都会からのお客さまにとっては、自然の中で見るもの、聴くもの、触れるものすべてが新鮮です。幸せな気分にしてくれます。言いかえれば、これらすべてに商品価値があるということです。
 
 例えば、水。山からの湧き水はびっくりするほどおいしく、来たかいがあったと感動するほどです。空気もそうです。こんなに空気っておいしいのかと、改めて気づきます。満天の星も、静けさもそうです。自然の奏でる音だけの世界に人々は感動します。日の出、夕暮れ、小川のせせらぎ、小鳥の鳴き声、木の葉を揺らす風の音、草木の香り、土の持つ感触など、その土地の人が想像する以上に、都会の人々はこの非日常の世界に心を奪われるのです。
 
 このような四季の彩りと共に、五感(見る、聴く、触る、匂う、味わう)による素晴らしい自然をビジネスに生かすことこそが、これからの旅館ホテルにはなにより必要なのです。
 
  *    *
 ■日本ホテルレストラン経営研究所=ホスピタリティ業界(旅館、ホテル、レストラン、ブライダル、観光、介護)の人材育成と国際交流へ貢献することを目的とするNPO法人。同研究所の大谷晃理事長、鈴木はるみ上席研究員が監修する書籍「『旅館ホテル』のおもてなし」が星雲社から発売中。問い合わせは同社TEL03(3868)3275。     
       

 
 
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