
2023年3月に閣議決定された現在の観光立国推進基本計画は期間が3年であるため2025年が最終年となる。そこで今回から3回にわたってインバウンドを中心として観光立国推進基本計画の振り返りを行い、その上で2026年以降の今後のインバウンドのあり方に関して考察を行ってみたい。
2024年終了時の計画の目標達成状況は、訪日外国人旅行者数3687万人、訪日外国人旅行消費額8.1兆円、訪日外国人旅行消費単価22.7万円となり、これらはいずれも2024年の時点(消費額関連は2023年)で目標が達成されている。
一方で訪日外国人旅行者1人当たり地方部宿泊数は1.48泊で、目標のまだ未達である。
3回のコラムにおいてはこのインバウンド関連目標では唯一まだ達成できていない「地方誘客」を中心に今後のインバウンドのあり方を検討していきたい。
2024年の外国人延べ宿泊数は2019年比で三大都市圏が56・5%増に対し、地方部は18%しか伸びていない。2019年と23年の比較だと地方部への訪問者数は22・1%減っている。しかし23年と24年を比較すると三大都市部が35%増に対し、地方部は51%増となり、25年1~5月累計では前年同期比で三大都市圏が16%増に対し、地方部は31%増と倍の伸び率を示しており、ここ2年地方部への訪問は確実に拡大してきている。
地方部への訪問が伸び悩んできた理由としては、一つは認知度の低さやブランド力の弱さである。海外の旅行者はよく知らないところには行きたがらないし、旅行会社も勧めない。
二つ目は楽しめる選択肢の少なさである。都市圏はいろいろな施設・イベント・アクティビティがあり、食事やショッピングをするのにも選択肢が豊富である。
三つ目は交通である。訪問するのに手間と時間がかかるところは選択しづらい。しかし一方で地方にしかない魅力も少なくないため、SNSでの発信もあり、日本ファンの旅行者には注目度が高まっている。
次回はこの背景を踏まえた今後の展開方について述べていきたい。
(帝京大学経済学部観光経営学科教授 吉村久夫)